⑭ 無一文で離婚した女が、女流官能小説家になり、絵画モデルとなって500枚の絵を描いてもらうお話 「突然彼の家に行って見たら」 

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前編: ⑬ 無一文で離婚した女が女流官能小説家になり、絵画モデルとなって500枚の絵を描いてもらうお話 「マンションに引越す」
後編: ⑮ 無一文で離婚した女が官能女流小説家になり、絵画モデルとなって500枚の絵を描いてもらうお話 「切り裂かれた絵」

 引っ越してから三ヶ月目のことです。

 ある夜、宛名を書くマジックがなくなっていることに気が付いた私は、コンビニに行きマジックを買ったついでに、そこから近かった彼の家に寄って見よう、と考えたのです。

「こんばんは~」

 勝手に扉を開けて室内に入ります。

 と、そこにいたのは、彼の妻。

 テレビの画面。

 ちゃぶ台の上には、手づくりのお寿司とデザートの彼が大好きなかんてんゼリー。

 二人で仲良く膳を囲んで夕食を食べていました。

 そう言えば数週間前から、家の中が妙にかたずいてきれいだったんです。

「先生、これはどういうこと?!」

 なじる私に、

「これは後で説明するから、明日きっと」

 彼はあわてふためいて必死で説得します。

 そして翌日、彼から打ち明けられたのは、驚くべき事実でした。

 

 彼の妻は、彼の挿絵画家としての仕事が少なくなってきてから、ずっと近所の食堂にパート勤めに出ており、彼と別居した後も、その食堂で働いていて、彼に経済的援助をし続けていたこと。

 毎晩彼は、彼女の勤め先の食堂に行き、

「お前のために、俺は妻から毎晩食堂の残り物の食事をわけてもらってたんだ。残飯をもらってたんだ。そんな屈辱に耐えていいたんだ」

 と言います。

 彼の妻は、毎日実家から通勤していたのです。

 彼女はたいへんな資産家の娘であり、彼が住んでいる家も土地も、すべて妻名義であること。

 新しい家も、彼女の実家からの資金で建ったこと。

 彼女が実家に帰っていたのは、実家が男所帯で女手がいない状態だったので、彼女が必要だったため。

 若いお嫁さんも来て女手ができたので、彼女は実家を出て、彼のアトリエの近くにアパートを借りた。

 それが三ヶ月前のこと。

 彼がそれをOKしたのは、私と喧嘩していて何週間か別れていた間のことだと言う。

 彼とつきあって5年目くらいから立場が逆転し、彼は私のアパートには来なくなり(電話をかけるのも私から)彼からのDVもぴたっとやんでいたのに、私のほうがささいなことで彼を罵り、それを苦にした彼が、一人部屋にこもって大酒を飲んでしまうことがあったんです。

 その時も、彼がグラビア雑誌にのっている女優のポートレートを褒めた。

 それが気に入らなくて喧嘩になり、彼がどう謝ってもきかず私はアトリエからアパートに帰ってきてしまいました。

 その後も電話で、喧嘩を続けて、

「私を好きじゃないから、女優を褒めるんでしょう」

「そうじゃない、そうじゃないよ」

「もう絶対に先生のところへは行かない!先生のアトリエなんか二度と行かないから!!」

「お前が来ないと絵が描けない。俺に、俺に死ねと言うんだな」

 彼の呼吸が電話口の向こうで荒くなります。

 すすり泣いているようです。

「死にたかったら死ねばいいのよっ! 絶対に行かないからっ」

 私は電話をがちゃん、と切りました。

 夜には彼の方からは私に電話をかけてこない。

 それは約束しています。

 彼は酒を浴びるように飲んで部屋に倒れていたそうです。

 それを見つけた彼の妻が、

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