つづき…

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前編: 7.19

どのくらい泣いたのか、私は霊安室には戻らずに娘の元へ戻った。


母は出来るだけ娘に不安な空気を感じさせないように、悲しませないようにと、普段と同じく娘をあやしながら外を見せていた。


一糸の乱れもなく、整然と娘をあやす母は本当に大きい人に見えた。

そしてなにも知らず幸せそうに笑う娘はすごく綺麗でキラキラしていた。


取り乱したって仕方がない。

なんだかもう疲れた。。

泣いたって意味がないんだな。。



母が娘に笑いかける姿を見て、私にも母のその血が流れているのを私は実感した。


娘には、もう私しかいない。



なぜか、どうしてか、屈託なく笑う娘には泣いてほしくなくて、その時私自身も泣くことを止めようと、私の中の何かが鎮火した。


まだ1歳7ヶ月。

パパが死んだことをどう理解するのか。

どう説明したら良いのか。


どうせなら、なにも解らないまま笑い続けて育ってほしいと思った。



今日まで息をして生きていること。

全て、この時母が身をもって教えてくれたんだと。

あなたの娘だから出来たんだよ、と。

感謝の気持ちを伝えても伝えきれません。




涙が出なくなり、心が無になった気がした。


この時、広樹の妻である泣き虫な私は一緒に死んだのだと思う。





私たちが到着するのを待っていたこともあり、病院にはこれ以上長居は出来なかった。


彼を連れて帰る所から、葬儀の段取りなどは全て彼のお母さんがやってくれたようで、私は娘を抱いて呆然とする時間をただ過ごしていた。

みんなの読んで良かった!