バッグ職人sunaoのひとりごと〜クジラみたいな土佐打刃物
storys.jpの読者のみなさま、はじめまして。
私は革でバッグをつくる仕事をしています。
デザインからパターン(型紙)を制作、革の裁断、縫製、ラッピング、はたまた自分のブランドsunaoのサイト構築まで、ものづくり〜販売のすべての工程を、全部自分で手がけています。

まずは、制作に欠かすことのできない「道具」について書いてみたいと思います。
デパートやブティックでバッグは目にしても、
それを制作するのに使う道具を知る機会は、そうそうないんじゃないか、と。
いつもは裏方の「道具」たちに、スポットライトを当ててみたいと思います。

写真は土佐打刃物の切り出しナイフです。
高知県の土佐打刃物の鍛冶師・濱口さんの手によるもので、
すべてかたちが違うナイフの中から、悩みに悩みぬいて買い求めました。
高知の海を泳ぐクジラみたい。。。
愛嬌のあるユニークなかたちですが、怖いくらいによく切れます。
世界にひとつの、わたしの宝物です。
土佐打刃物のいいところは、まだ「生活の道具」として暮らしの中に生きていること。
高知県は、県民一人当たりの森林専有面積が日本一の「森林県」で、
そもそも土佐打刃物は木を伐ったり、薮を刈ったりする、山仕事のための道具。
今でもまちの金物屋さんで普通に売られ、身近な生活の中で使われています。
でも実は、、、
土佐打刃物は「自由鍛造」という日本刀の製法を受け継いだ、
なんと400年もの歴史をもつスゴい刃物なんです。
それなのに、工芸品や美術品じゃなくて、素朴で丈夫な野良の道具として存在している。
そこがいいんですよねー。
例えば「肥後守」とか、昔はごくありふれたものだったのに、
いつの間にか身の回りから消えてしまった道具って、実はたくさんあるように思います。
いい道具がないと、いい仕事はできません。
どうかどうか、ずっとつくり続けていただきたい。
そんな、祈るような想いでいます。。。
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道具についてのストーリー。
まだまだ、ご紹介したい道具がたくさんあります。
次にお話ししたいのは、
海外の一流メゾンの職人がこぞって買いにくる、
日本で一人しかつくれない、東京の職人の手による道具の話です。
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