600㎞を越えろ~赤い実弾けた~

前話: 600㎞を越えろ~思いがけない絆~
次話: 600㎞を越えろ~自覚と苦悩~
ブログの為に始めたAmebaだったのですが、ピグと呼ばれるキャラクターを可愛くしたいが為に課金してしまい…結果、せっかくお金を出したのだから元を取らねばという貧乏根性丸出しで、ゲームもプレイするようになりました。真っ先にハマったのは釣りで、同盟員を誘っては魚がかかるまでチャット機能で会話…と、釣りライフを満喫しておりました。
ある日のこと。一人で景気良く釣りをしていると、K坂さんのログイン通知が表示され…彼がログインするには珍しい時間だったので、何となく気になって後を追ってみました。しかし、特別に何があった訳ではなく、暇だっただけとのこと。それを聞いて安心したと同時に…今度は二人きりであるという気まずさを感じました。というのも、私は現実は勿論チャットでも騒がしい存在であり、K坂さんは発言こそするものの物静かなイメージで…静かな人って、私みたいな煩い人間のことが嫌いだったりするんじゃないかなと、勝手に被害妄想を抱いていたのです。よって、何らかの理由をつけてその場から去るのが、彼にとって一番なのかな…何て考えた訳です。
しかし、彼は邪険にすることなく声をかけてくれ…その態度が酷く私に安心感を与え、気がつけばかなりプライベートなことまで話していました。そして、互いの両親の話になった時、彼が「素敵なご両親ですね」と言ってくれたのですが…不思議な感情が芽生えました。
この人と結婚する人は、きっと幸せだろうな
その時から、彼はネット上で最も信頼が出来る人物となりましたが、まだまだ恋愛という段階ではありません。ただ、もっと仲良くなりたい、もっと相手のことを知りたい…という気持ちはありましたね。所謂「興味がある」という段階なのでしょうかね。

月日は流れ、戦国IXAにて我々が作った同盟は人数が増え、小規模同盟ではあるけれど少数精鋭が揃った「そこそこの同盟」となります。しかし、規模が大きくなったことにより、同盟内で事件が勃発しました。少々発言に問題がある人物が同盟員となりまして、それを許せない古くからの同盟員が、何とか問題の同盟員を追い出そうとチャットからでも激しい怒りが伝わってくる位の発言を、AmebaPiggで繰り広げていらっしゃいました。現実ではどんな剣幕をしているのか…それを想像した途端、昔お付き合いをしていた男性から鬼の形相をして手を振るわれた過去を思い出し…恐怖で涙が出てきました。もうそこからは、無意識だったと思います。戦国IXAの書状で、K坂さんに「怖い、助けて」という旨を送っていました。穏やかな彼の文面を読んで、きっと心を落ち着けたかったのだと思います。でも、そもそも戦国IXAにログインしているかはわからないのに…それでも彼にSOSを出した私は、よっぽど追い詰められていたのでしょうね。都合良く助けてくれる訳ないよね…と、書状を送ってから苦笑していました。
K坂さんがログインしました
K坂さんが部屋に訪れました
頭が真っ白になりました。彼を呼んだのは…助けを求めたのは、他でもない自分自身なのに、理解が追いつきませんでした。だって…本当に助けてくれるだなんて、思っていなかったから。こんなバーチャルな世界で知り合った私なんかを、助けてくれる人がいるなんて夢にも思っていなかったから。
(空気読まない発言をして話を逸らしますが、辛かったら逃げて下さい。)
私信機能を使って私に呼びかけてくれる彼。再び涙が出てきたけれど…それは恐怖からではなく、救われたと確信した安心感からでした。それと同時に、胸がチクチクと痛むような…でもそれが不快ではない、何とも不思議な気持ちを覚えました。

その時は気がつかなかったけれど…今思えば、私が彼に恋をした瞬間でした。


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