元獣医アーティストが一年かけて地球を一周してアート活動してくるまでの話4
売り方についても、鑑賞者が私の創作に「干渉」できる余地を残しています。
というわけで、売っている状態自体を私の作品の一部に組み込んでいるのですね^^
■本当にいざとなったら助けてくれる世界を信頼する
ちょうど最近、フレンドファンディングアプリpolcaがリリースされました。
私もさっそく2件ほど企画を立ち上げたところ、
2人の方から300円ずつの支援をいただきました。
私もまったく見知らぬ人のプロジェクトに同じだけ支援。
金額的にはプラマイゼロなんですが、
そのやりとりの間に生まれた交流や、「もう少し何か楽しんでもらえることがしたいな」
という思いが生まれたのはうれしい経験でした。
だから、たぶん社会に還元された「楽しさ」はお金のやりとりが発生する前よりちょっと増えたと思うのです。
BASEショップでの作品購入や「おごり」もそうですが、
この旅には応援してくれる人がいて、そのおかげで旅をつづけていられています。
しかし、それでも収支はちょうどトントンくらい。
もしも旅先で大けがしたらどうするの?
急に家族に何かあったらどうするの?
万が一の時のために、準備をしておかなくていいのか。
でも今の私は思うのです。
もしも本当に万が一の状態になって、もう本当にヤバい、超ヤバい!ってなった時は、
世界に向けて正直に超ヤバいことを言ったら、いろんな人が本当にちょっぴりずつ手を貸してくれて、なんとかなるんじゃないかと。
そして、自分自身も、本当にちょっぴりだけ手を貸せる人であれたらいいな、と思います。
たとえ相手がまったく出会ったことも出会うこともない人だとしても。
ちなみに今の私は海外転出届を出してから出国しているので、
日本の年金も健康保険も住民税も払ってません。
上海前に一時帰国しますが、中国ビザ取得に支障がない限り、
転入届は出さないつもりでいるので、日本に帰っても健康保険がありません笑。
もしかしたら、このまま一生日本に住民票持たないんじゃ、とも思ってます。
まぁ、分からないですが、それは今後の楽しみに笑。
※確定申告時期に日本にいないことになるというのもあって海外転出届を出しました。
転出届が出ていると、日本の納税義務がなくなるので、確定申告もしなくてよくなります。
その代わり、源泉徴収が20%に。
■人生のやりたいことをすべて総取りできるのか
なんだか楽しく暮らしているように思えちゃうかもしれませんが、
私の場合、運よく家族が元気で、私自身が独り身であるからこそやってられることなんですよね。
自分が結婚して、子どもを生みたいと思った時、
この生活とはトレードオフになってしまうんじゃないかという心配ももちろんあります。
レジデンスには配偶者や子供を連れてこられるというプログラムもあるのですが、
ある程度成長した子どもならともかく、乳飲み子を10時間以上かかるフライトに乗せて
連れまわすというのは、なかなか現実的ではないように思えます。
一番やりたいことを突き詰めた時、二番目以降は叶わなくても仕方ないものなのでしょうか。
私は長編小説を書いて出版だってしたいし、作品が映画やアニメになるというのも体験してみたいです。キャンピングカーでアメリカ横断だってしてみたい。
もちろん作品がアートバーゼルに出せるくらいになったらいいなとも思ってます。
やりたいことを全部やりきれるほど人生が残ってなかったとしても、
それでも総取りするくらいの気持ちで生きていたいなとは思っています^^
■アーティストとしてのトレーニングは積めているのか
この旅に意義があるかどうか、という点ですが、ここまでの8か月間で、思い切って旅立ってよかった、という思いが強いです。
家賃0円の家がクローズされることになり、ところてんが押し出されるように
やむなく出ることになった旅ですが、
フィンランド編で散らかってたコンセプトがまとまることになり、
現在のルーマニアでは「世界の中心で嫌いを叫ぶ」という貴重な体験もできました。
まだ展示機会が得られるかは分かりませんが、次のフィンランドも再度、
レジデンスアーティストとしての参加になるので、
とにかく作品をつくりまくっていきたいと思います。
まだまだ、自分の作品販売だけで生きられているとはとても言えない身分で、
もちろん焦りもするんですが、
それでも旅を始めてから今日までで53点の作品が誰かの手元に渡りました。
出国直前の1ヵ月を入れると63点です。
人生でこんなに作品を買ってもらえたのは初めてかもしれない笑。
作品の裏に映る作者の成長が、すでに手を離れた作品たちにも宿るように、
ひきつづき精進していきます^^
■盗まれた本のような作品はつくれるのか?
最後に。
アウシュビッツに連れていかれる前に人々が図書館から本を盗んだ、
という話を聞いたことがあります。
生き残る、ということを考えるなら、パンを盗んだほうがよかったかもしれない。
でも、過酷な状況に置かれる人たちが支えにしようとしたのが「言葉」だったということが、
私にはすごく美しく感じられるのです。
私の作品は基本的には言語を使わないことを課しているのですが、
その時に人々に「盗まれた言葉」のように、これが自分に必要なのだと思ってもらえるような作品が
つくれたらいいなと思っています。
言葉を尽くしても足りないほどの世界が、どんなに小さい1ピースにもこもったような作品。
そういうものをこの世界に残したい。
そして、いざっていう状態の人に盗まれたい笑。
そういえば、昔イベント展示した作品、7枚中6枚盗まれてたなっていうのを思い出しましたw
(残された1枚は床にでろっと落ちてたので、なんか盗まれたほうも大切にはされない気がして、その時は残念に思いました。
どうやら盗まれればいいってわけでもないらしいw)
それでは次回はフィンランドよりお届けいたします^^
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