元獣医アーティストが一年かけて地球を一周してアート活動してくるまでの話4

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第四章 果たしてこのアート旅にはいくらのコストがかかっているのか?

2017年1月11日から1年4か月に渡る地球一周アートの旅に出ています。

8月11日現在、ルーマニアで人気の世界遺産の町、シギショアラに滞在中。

次のフィンランド滞在のための滞留許可も出たので、予定通り9月1日の朝には再びフィンランドに渡ります。


1月     ロサンゼルス

2月     ニューヨーク

3~5月   フィンランド(トゥルク)

4~6月   ルーマニア → イマココ

9、10月   フィンランド(マンッタ)

11~翌年5月 上海

2018年5月~6月 デンマーク

6月~7月 フランス

8~10月 韓国


レジデンスで来てるわけでもないのでアトリエがあるわけでなく、素敵な町ではあるけど大都市なわけでもなく。ふだん何してるかというと、基本的には生活して制作している感じです。

娯楽のレベルが下がっていて、山に水汲みに行くのが一種の娯楽みたいになってきてます笑。

暑いのが苦手なので、そういうことがないと外に出ることがなくなって、着々と社会から隔絶していく感じ。

制作はワンルームの室内にあるテーブルにスーパーでもらってきたビニール袋で養生をしたり、

折り紙についてた厚紙をつなげて簡易養生紙をつくったりして室内制作しています。

こうして旅をしてることを地元で会った人に話すと、

聞かれることが多いのは「お金、どうしてるの?」です。


この疑問、世界共通なんですかね。

そんなわけで、今回は気になる「お金」の話です。


アーティスト活動を「継続する」上でコスト管理は大事なこと。

私がやっているアートプロジェクト(SORA)も、

スポンサー様から紙や画材の提供はいただいてますが、
お金が出ているわけではないので、交通費などの実費はもともと自分で出しています。
ワークショップ自体は自分ひとりでやればお金がかかるわけではないですが、
お金を稼ぐこともできた「時間」を使っているので、
場所が見つかったからといって次々と「やります!」と言ってると簡単にパンクします笑。


なので、今、何を優先していくべきなのか、を考えて行動を選択していきます。


さて、さっそくこれまでの旅の経費です。


1ドルは115円、1ユーロは120円、1ルーマニアレイは27.3円、1元は16.95円、1クローネは17.2円で換算し、円に直しています。

大きくお金がかかってる渡航費だけ特記しました。

(※友人宅に泊まった滞在費は非公開)


■ロサンゼルス 109,570円/5週間(1日当たり3,031円)

 うち、渡航費は羽田~LAX 75,033円(渡航費を引くと1日当たり987円)

■ニューヨーク 154,456円/4週間(1日当たり5,516円)

 うち、渡航費はLAX~JFK 14,743円(渡航費を引くと1日当たり4,990円)

■フィンランド(トゥルク) 421,901円/3か月(1日当たり4,688円):レジデンス参加

 うち、渡航費はJFK~ヘルシンキ 24,360円、ヘルシンキ~成田 35,347円

 ほかに滞留許可申請費50,400円、海外保険料(5か月分)67,312円→これを抜くと1日当たり3,380円。(渡航費と滞留許可、海外保険料を引くと1日当たり2,911円)

※次のフィンランドまで半年あけば滞留許可申請は不要だったので、次はこういうところにも気をつけたいところ。

■ルーマニア 193,740円/2か月半(1日当たり2,768円)

 うち、渡航費はヘルシンキ~ブカレスト(往復) 32,628円(渡航費を引くと1日当たり2,302円)

■フィンランド(マンッタ) 161,362円/2か月(1日当たり2,646円):レジデンス参加

 渡航費はトゥルクの時に払っているのでなし。

■中国(上海) 404,263円/6か月(1日当たり2,234円):レジデンス参加

 渡航費、朝食はレジデンス先の持ち。のちのデンマーク、フランスへの航空券代をここで支払っているが、のちにレジデンス先から返金予定なので計上しない。

■デンマーク(コペンハーゲン) 137,053円/3週間(1日当たり6,527円):レジデンス参加

 うちスケーエンへの宿泊費・交通費が30,263円、作品の写真プリント代(14.2メートル分)が51,471円(こちらをのぞくと1日当たり2,635円)

※レジデンス参加、と書かれているところが現地のアーティスト・イン・レジデンスのプログラムに参加しているところです。レジデンスの滞在費は無料。


ちなみに、かかった費用のすべてを計上しているので、

九州豪雨義援金や友人のクラウドファンディングへの支援なども含まれています。

1日当たりの金額も出してますが、この中に滞在費も含まれているので、

実際の生活費「だけ」のコストはもっと低いです。


超ざっくりですが、8か月で866,306円(1日当たり3,867円)。うち渡航費が182,111円。

細かくいうと、これ以外に月々の電話代、ウェブサイトのサーバー代、Officeの年会費なんかが

かかってるので、+10万くらいなんだかんだかかってることになります。


みんななんとなく気づいているように、生きる上でかかるお金のほとんどは「家賃」
(私の場合は渡航費ww)

だから、家賃さえ0円であれば、かなりいろんなハードルが下がってチャレンジしやすくなるはずなんですよね。

家賃が毎月かかってるっていうのは、固定の借金を常に抱えているような気持ち。


ちなみに、アーティスト・イン・レジデンスについては、

滞在費等がかかるところから、助成金・制作補助費が出るところなどさまざま。

ただし、条件がいいところは当然、競争率が高いのでなかなか受かるのが難しいです。


滞在費が無料、というところもかなりあるので、

自分のキャリアがまだまだな人は、そういうところから攻めて、

ポートフォリオを固めていくのが正攻法かなと思っています。

(もちろん、作品自体の説得力がある人は、キャリアに関係なく受かると思います)


アートコンペと違い、レジデンスは条件がいいところでも応募費用がかからないところが多いので、

気になる人はとにかく出してしまうのがいいです^^


■「売る」作品をつくるべきなのか?

私の主戦場はインスタレーションだと思っていますが、

インスタレーション作品はまず売れません笑。

小さめのオブジェとかならともかく、室内を埋めちゃうほどの作品を買おうって思う人はなかなかいないはず。


では、アーティストとして生きていくために、「売れる」作品をつくるべきなのか、

という点について考えていきましょう。


作品が売れないとアーティスト活動が継続できないんじゃん!

だから、売れる作品つくるべきでしょ!っていう意見がもっともなところで、

ここで問題は「アーティストなのに、世間の売れる基準に寄っちゃっていいの?」

っていう在り方の問題です。


ここの折り合いがつかずに、売れるに寄せない作家さんはいっぱいいるんじゃないかなと予測しています。

私は寄せたくないなら寄せなくてよい、と思っています。

よく売れるのがイコール良いアートなわけでもなく、

自分のやりたいことに合わせて決めたらいい、と考えています。


私は現代アートが好きだし、自分もそのステージに立てたら、

自分の好きなアーティストさんたちと直接話すことができるかもしれない、

というあわよくばな気持ちがあるので、少しでもそれに近づけるような行動を取っています。

私は純粋に、彼らが何を考え、何をしながら生きているのかを知りたい笑。


一番ぶれてはいけないのは、作品のコンセプト、自分の作品のコア。

そこがぶれ始めると、わざわざアートをやっている必要性がぜんぜんなくなると思うのです。


私は作品のコンセプトと売ることについての折り合いがついているので、

買いやすい作品、買い手のことも考えた作品も販売しています。

平たくいうと、小さくて安い、です^^


コンセプトさえぶれなければ、別に売れる作品をつくってもいい。

というか、自分の数ある作品群の中で、売れやすいものだけ公開していけばいい、といった感じ。


作品が売れる、というのは、その作品を通じて自分を知ってくれる人が

増える「かも」しれないということ。

そうして作品がつくってくれた縁が、自分の活動を広げてくれるのは必ずあるので、

私はそういう選択をしています。


また、「鑑賞者を創作に巻き込む」というのが私の作品の特徴なので、

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