デメギョ生徒会長になる4(ハルの章)


いつもの朝、オンボロバス🚌の一番後ろが俺たちの指定席、隣はいつも米

「それでどうだったの、嵯峨野舞子。」

「米に言われた通りご挨拶して来たけど、選挙の話も制服の件も話してないよ。」

「それでいいよ。聞きたいのは、嵯峨野舞子の印象。実際会ってみてどう感じた?」

「美人でスタイル良いし、俺なんかよりずっと大人だな。でも笑顔が無いね。」米は不思議そうに😲「なんで?笑い取りに行かなかったの。」

「そんな空気じゃないって、まっ、取りにも行かなかったけど、今のあいつは自分の考えに凝り固まっていて、誰の話にも耳を貸さないだろうな。今でも苦手なタイプだけど、負ける気はしない。」学校に近いバス停は終点なんでブザー押さないでも止まった。


(ハルの章)

昼休み、応援部の仲間と平和なひと時、黒ずんだ太鼓とささくれ立ったばち。壁に掛かってる人数分の大縄(本来、大型船舶用で岸壁につなぎとめる為のもの、本番の時は学ランの上から肩に掛けるのが伝統になってる。)この部室に染み付いたタバコと汗の匂いが今では心地よくなっていた。俺はいまだに悩んでた。応援団長としてじゃない、Owensリーダーとしてコンサートのセットリストを決めることが出来ずにいた。

「ハル。お前がリーダーなんだから、グッバイマリアで良いんじゃないか。あの曲最初から最後までギター🎸は同じフレーズで、手が攣りそうって米が嫌がってるのは分かるけど。」バンドの事となると優柔不断になってしまうのは何故だろう。

「須藤ちゃんは何事も強引でいかん。応援部もOwensも満場一致が原則よぉー。」

血相変えて米が飛び込んで来た。

「ハル❗️デメギョどこ行ったか知らない?」

「来てない、どうした慌てて。」

「秋岳台高校の黒田って奴が来て。デメギョ連れて来いって4~5人で騒いでるんだよ。」

「須藤‼️黒田って誰だ。」

「1つ上の三年で、中学ん時は北中のNo.2、身体デカいんで腕力にモノ言わせてたらしい。秋岳台高校は進学校だから今はラグビー部で文武両道に励んでるんじゃないの。」

「よし。須藤、大吉、行くぞ。米❗️黒田はどこだ?」

「ちよっと待ってよ。デメギョ探さなきゃ、僕たちだけが行ってもしょうがないよ。」

「デメギョは生徒会長になるんだろ、今は出さない方がいい。どうせ良くない話だろうよ。俺たちでカタつけてしまおうぜ。」大吉が、

「一応向こうは1つ上だから、こっちも先輩に声かけた方が良いんじゃないか?数も集めた方が😨。なあ須藤ちゃん。」

「ハルが行くってんだから、黙って付いて来れば良いんだよ。こんな時は人数じゃないんだ、一歩も弾かないとこ見せるんだよ。」立ち上がると、須藤、大吉、米。校門にはそれなりにラグビーで身体作ってる風の、猛者達が待っていた。

一番デカくて真っ黒に日焼けしてるのが黒田か?

「お前がデメギョか?話がある。文化ホール行こうか。」

「デメギョは居ない。俺が話を聞く。」

「お前に用はない。デメギョ連れて来い。」

「俺は応援団長だ。部員のことは俺が聞く。話を聞いてこっちが悪いんなら俺がシメとく。」黒田は薄笑いを浮かべ

「フン。お前がハルか?名前だけは聞いてるよ。カッコつけたい気持ちは分かるが、素直にデメギョ連れて来た方が身の為だぞ。」

「こんな所で長話はできない。文化ホールで待ってろ。すぐに行く。」ちょうど何事かと、野次馬が遠まきに集まってるところを黒田達は踵を返し、ホールへ向かった。

昔っから学生の揉め事は、城の隣の文化ホールって決まってた。城の周りに学校が集まってるという地理的条件もあった。

「ハルどうするのまさか乱闘って事にはならないよね?」一番後ろをついて来ていた米が、いつの間にか隣に来ていた。「どうだろうな。文化ホールって事は、やる時はやるって事だ。」文化ホール前の芝生広場には、誰も居なかった。

「あれー。黒田達いないよ。逃げちゃったんじゃないの❓」米はわかってない。

「裏にいるよ。こういう時は裏に決まってんだよ。」須藤が表情変えずに応えた。

「話し合いで終わらないな。須藤。やっとくか有商語り。」

「お城に向かって整列ーっ。」須藤の声が他に誰も居ない、辺りの空気を切り裂いた。

有明商業高校応援部では、試合の前には有商語りをやるのが伝統になっている。俺は大きく息を吸い込んだ。「おーだんがこじょうー。らくじつおかにー。くさーもゆる。」「押〜忍」みんながひとつになった。「がしんしょうたんはやみとせ。」代々口伝によって伝えられている為、意味も漢字も解らない。でもわかってる事がある。これをやったら一歩も引けないって事。

裏にまわると黒田達がいた。「逃げずによく来たな。別におまえらと争う気は無い。言うことを聞いてくれればだがな。」黒田の舐めた表情が気にいらねぇ。「話せよ。」

「生徒会長立候補。辞退するようにデメギョって奴に言っておけ、出るんだったら争うことになる。」

「秋岳台のお前が口を挟むことじゃ無いな。そんな事ならデメギョに言う必要はない。争う。」俺の横を須藤が走った。「バキッ。」須藤が黒田の膝頭を蹴り、巨体が揺れた。俺も前かがみになった黒田の顔面に膝を入れてやった。鼻血が飛んだ。

後ろから黒田んところ雑魚が引き剥がそうとしてくるが、黒田の首を放さずさらに数発膝を入れた。後ろは大吉と米でなんとかしてるだろう。須藤は黒田の膝頭を逆に曲げたいらしい。何度も同じところ蹴り続けてる。須藤と二人掛かりで黒田はとうとう倒れた。腹を数度蹴り上げた所で泣きが入った。

「もうやめてくれ、俺の負けだ。」黒田は鼻と口から血を流し呻いた。

「受験がんばれよ。」バシッ、ビンタを一発くれて「はい終了ー。撤収ー。」俺は雄叫びをあげた。振り返ると大吉と米は激戦を物語る男らしい顔になってた。

「二人とも授業には戻るな、その顔じゃバレバレよぉ〜。よ〜く冷やしとけ、明日パンパンに腫れるから。なんだったら明日も来るな。」須藤が適切なアドバイスをしていた。

「須藤ちゃん、俺たちも顔洗って部室で着替えないとバレそうだ。」


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