第3話 日系最大のセブ島英会話。生徒激減「倒産の危機」

前話: 第2話 すべてはバイク便から始まった

最大の試練

2013年の秋フィリピンが世界に注目されていました。
わずか一か月の間に地震と台風に襲われ大きな被害が出ていたからです。とりわけ台風での被害が大きく連日被災した映像がテレビで流れています。
レイテ島、我々がいる隣の島なのですが世界からみると違いはありません。
私達の学校があるセブ島は幸い被害が少なくオンライン英会話もフィリピン留学も数日で復旧したのですが風評被害で大ダメージを受けてしまったのです。
ここ数日、良くも悪くも私の脳みそが最大限に活性化されています。台風に対する準備は万端に整えていたのですがまさか乗り切った跡が最大の試練だとは思いもよりませんでした。最悪を想定していたつもりでしたが想定外だったのです。私がいかにして危機を脱したかお話しします。

当時の私の学校は4400平米の校舎棟とフィリピン留学で180人の生徒が宿泊できる寮に分かれていました。今、オンライン英会話の事務所がある校舎棟8階、大会議室で緊急ミーティングが始まったのです。

7人の女サムライ

7名の元祖スーパーティーチャー、今では管理職となったスーパーバイザーと対策を考えています。
「らいこう、大変よ。フィリピン留学の問い合わせが減っている。いいえ、無くなってしまったのよ」
留学を担当しているミアから悲鳴なような報告が上ってきました。
ミアは11年前、別の学校で僕を教えてくれていた先生です。彼女のお父さんがManila International Airport(マニラ インターナショナル エアポート)に勤めていたので頭文字でMIAになったそうです。私が英会話学校を立ち上げるとき彼女が仲間を集めました。いつもすごい早口で話していて、彼女のおかげで私のリスニング力は上がったのです。
HRヒューマンリソースと経理を預かるのがヘルガ。彼女も珍しく早口です。
「お金がショウトする。150人いた留学生が37人よ。今で500万ペソ売り上げが下がっていわ。このままでは倒産しちゃう」
ヘルガはショートカットで以前より少しやせています。おっとりした性格のヘルガはいつも先生との間にはいり不満や要求をじっくり聞くのでママヘルガと慕われています。
今年の夏にくも膜下出血で倒れ生死の淵をさまよい、その時の手術で未だにショウトカットなのです。入院中、必ず学校に戻るんだと言い続け奇跡の復活を果たしたのです。
しっかり者のドーリーが
「悩んでいてもしかたないわ。何かできることはないの? 何か考えなくっちゃ」
だいたい新しいプロジェクトは彼女が担当します。若い先生から絶大な人気があり、あらゆるプロジェクトをこなします。理論派で行動力抜群です。今はボランティア活動の総指揮もとっています。
グリゼット、通称ゼットは一番年上で皆から尊敬されているのですが、今日は少しピントがぼけていいます。
「節約よ。節約しかないわ」
彼女が立ち上げに参加したのにはびっくりしました。前にいた学校で宝といわれたカリスマ教師です。300人の先生を束ねる4人しかいないスーパーバイザーの一人だったのです。高給取りでフィリピン留学最大手のトップだった彼女が参加してくれたのは嬉しかったです。もちろん、ここでもリーダーです。
HRのヘルガが
「節約でしのげる金額じゃないわよ」
そもそもフィリピンの普通の家系で育った彼女たちにとって500万ペソは想像ができない巨額な金額なのです。日本円で1500万円程なのでパニックになっています。
「私のチームができることはないの?」
新人トレーニングを担当しているゲイルが聞いてきました。彼女は一番小さいのですが教え方がパッショナブルで大人気の先生です。教えるのがあまりに上手かったのでゲイル「君と同じ先生をたくさん作れ」と言われ新人トレーニングチームを任されています。
新人以外のクオリティーコントロールをやっているのがデザリーです。中で一番頭が良くオンライン英会話の教科書の作成や新しいメソッドの開発はいつも彼女が携わっています。当時在籍していた400人先生のエバリエーションもまかされていて先生には恐れられている存在です。
デザリーは何かを考えているようで一言も話しません。
最後はノリーン。身長が高くすらっとした美人さんです。いつもデモのレッスンや突発的な授業をやることが多いのですが常に落ち着いていて、何事にも動じない心臓に毛が生えている強者です。
「今、フィリピン留学でやれることは限られているわ。私に考えがある」

Googleで「らいこう奮闘記」と検索すると、全41話を一気にお読みいただけます。

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