プログラムの講師(1)

次話: プログラムの講師(2)
私はプログラマーを職業としている。今は違うが、客先に常駐してシステムの開発をやってきた。そして、システムが完成し、運用が始まったりすると、また別の客先に行って違うシステムを開発する。
7年ほどの間で色々なシステム開発に関わってきたが、一度、開発ではない職に出向させられたことがある。プログラム教育だ。

リーマンショックの影響で、開発案件が少なくなっていた頃だ。ちょうど一つの案件が終わった私に会社の上司がこう言った。
「プログラム教えにいってくれない?」
「えっ?」
「講師としての案件なんだけど、行ってきて」
「はぁ」
ということで、ある大手の会社のシステム開発部署に新卒で採用された40名ほどを相手にJavaというプログラムを教えに行くことになった。

その時所属していた私の会社は、未経験の採用をしていて、プログラムをしたことの無い人を相手に3ヶ月のJava研修を行い、いっちょまえのプログラマーとして出向させるという会社だった。
12のレベルに分けられたカリキュラムがあり、教育用のビデオを見て、プログラムを書き、テストを受けて合格すると、次のレベルに行ける。大体3ヶ月で習得させる。
10人に対して一人くらい講師がついて、質疑応答したり、一日の進み具合を管理したりしてくれる。

私は上司に言った。
「それで、私と一緒に行く講師は誰ですか?」
これは非常に重要な質問だったが、軽くこう言われた。
「外部の人」
外部の人。。。
「え?カリキュラムとか研修資料のこと知ってる人ですか?」
「いや、教えてあげてほしいんだよね。」
「え?話が見えないんですけど、私が外部の人に研修資料と教え方を教えて、二人で40人相手にしてくるんですか?」
「そうです。それと、2ヶ月で教えてきて欲しい。」

それから研修資料に目を通した。かつては私が受けた研修だ。研修を受けていたときには技術力など無く分からなかったが、資料の問題と回答、ビデオ、どれもそのまま展開できるような代物ではなかった。
私は2週間かけて、資料を精査し、相方になる講師に連携するための資料を作り、二ヶ月用にカリキュラムを組みなおした。

そして、研修の始まる一週間前に相方となる講師と会った。
「頼む。出来る人来てくれ!」
そう思いながら、オフィスで待っていると、50近い女性の方が入ってきた。私の相方となる講師の人だった。
「はじめまして。Javaはどのくらい経験あるんでしょうか?」私は言った。
「JavaはあんまりやってなくてCobolは長いんですけど^^」
私は一瞬言葉を失った。
「そうですか。では、これが講師用の資料になるので、目を通して置いてください。」
「分かりました。わからないことがあったらメールしますね。」
「お願いします。」

こうして、私の講師としての出向が始まった。それはゴールデンウィークがあけた日から始まった。

つづく。

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