出会って30秒ぐらいの人にプロポーズした話 【第2話】
嫁募集、前夜
2013年3月31日。
僕が徹夜で書きあげた原稿は下記の様な構成で成り立っていた。
- なぜ結婚がしたいのか
- 自己紹介
- 未来の嫁に対する願望
- これまでの人生について
- これからやりたいこと
- 周りの人間からの評価
- 嫁に希望する条件
- 応募方法
※実際に書いた記事はこちら
あくまでも真面目に、なるべく真摯に、真剣さが伝わるように原稿を書き上げた。
とはいえ、ウェブ上で嫁を募集するような男の事を好きになってくれる女性が、世の中にどれほど存在するだろうか?
…そもそも、万が一そんな女性がいたとして、
「将来、長野県の田舎で一緒に暮らせる方」
という、渋谷や原宿あたりのギャルが卒倒しそうな厳しい条件付きだ。
「どうせ応募なんてこないよ…」
もちろん、ちょっとだけ期待もしていたが、ほぼ諦めていた。嫁など見つからないと。
…ともかく、記事は完成した。後は発表するだけだ。
その際、たくさんの女性に読まれるように、下記のような施策がとられた。
- 0時の日付が変わるタイミングで、記事を公開すると共にブログの背景画像を嫁募集仕様に変える。
- 各種メディアに連絡し、エイプリルフールネタのまとめ記事の中にLIGの記事も入れてもらえるように頼み込む。
ちなみに、嫁募集仕様の背景画像は会社のデザイナーさんに制作してもらった。
この写真を撮る為に、会社の同僚の女の子に
「俺の頭の上からバラを舞い散らしてくれない?」
と、頼んだ。死にたい。
さらに0時のタイミングで背景画像を変える必要があった為、エンジニアさんを夜中に呼び出す必要がった。
この日、2013年3月31日は恐るべきことに日曜日。そんな日程にも関わらず、快く協力してくれたLIGの社員たちには今でも本当に感謝している。
それにしても、童貞が結婚する為には、ここまでしなければならないのか。
その後は会社で寝たり、エンジニアさんのご機嫌を取ったり。
…全ての準備が整い、時刻は23時58分。
間もなく日付が変わり4月1日になろうとしていた。
エンジニアさんと2人で時計を見ながら、僕は記事の投稿ボタン押す準備を、エンジニアさんは背景画像を切り替える準備をし、カウントダウンを始める。
そこまで正確な時間に更新する必要は無いのだが、なんとなくノリで数えていた。
「10… 9… 8… … 2… 1… 」
ゼロ!
カチカチッ(←マウスのクリック音)
…実に地味な動きだ。
無事に4月1日に日付が変わり、嫁募集記事は投稿され、ブログの背景画像は例のものに切り替わった。
果たして、本当に応募してくる女性はいるのだろうか。
エイプリルフールにこんな記事をアップして怒られたりしないだろうか。
期待と不安が入り混じる中、重大な役目を果たしたエンジニアさんがあくびをしながら家路につく背中を見送った。
もし、応募が来たら、とりあえず髪を切ろうと思った。
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