10月の1話 Your idea is not bad.

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10月が来た。私の帰国まであと1ヶ月とちょっとだ。

 ボスたちとミーティングを開き、私は自分のアイデアを語った。「このように流量を3つレベルにに分けます。そして、それぞれこのような特徴が見えます。」 

 私は、衛星画像だけは沢山見ていた。2009年と2008年の2年間、様々な衛星画像を見て、そのときの流量と風の状態をチェックした。自分のイメージでは、こう、という法則があるのではないか、と思っていた。そのイメージを客観的なものにするために色々と分析して、一貫性を説明したりするのだが、たまにはそういう説明がしにくいものもある。そんなイメージをボスに話し、ここではこうだ、ここでは多分ああだ、ということを話した。

 議論がちょっと熱を帯びたとき、ボスがこういった。

 

 「Your idea is not bad.

 

 私はびっくりした。ボスは、私の説明能力やまとめる能力が低いことはよく知っているはずだ。しかし、私の視点はいい、と認めてくれていたのだ。私は、不器用で、とてもクレバーとは言えないけど、だけど、きめ細かい洞察には、いいものがある、と認めてくれていたのだ。

 前述したとおり、ボスはとても優秀な人だ。そのボスから、こんな言葉をもらえたことが、自分を認めてくれていたことが、私にとっては本当に嬉しいことだった。この言葉を希望に、私はそれから先の1ヶ月、論文まとめに勤しんだ。慣れない表作り、きれいな絵の作り方など、分からないことは山ほどあった。時間は掛かったが、楽しんでいた。このころ、私は毎日夜9時までオフィスに残っていた。

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