Santiago de Compostela巡礼の旅(2)【サーフィン】

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2019年1月7日晴れ 最低気温5℃/最高気温17℃

Guincho(ギンシュ)の公認サーフ・インストラクターからレッスンを受けることにした。

Guilherme Garcia (ギレルモ ガルシア)45歳。私のキャンプ場から自転車で2分のところに住む。打ち合わせ通り10時にキャンプ場に現れ、「ギィと呼んでくれ」と。親しみやすい男だ。今日はサーフィンができるかもと淡い期待をしていたが、ギィ先生の車は修理中とのこと。「運が良ければ明日なおるかも」ラテンを旅するとよくある展開である。思い通り、予定通りいかないことを楽しまなくてはならない。

ギィ先生の紹介で山の上にあるサーフショップまで自転車でいく。ウェットスーツを買うためだ。190ユーロと安い。サーフィン用のブーツは45ユーロ。ギィはヨガをやる。また精神セラピストでもある。ギィを紹介してくれたのはビーチで声をかけたReiki(霊気)の先生でもあるサーファーだった。

旅先でも日常でもより良い、より興味深い展開を望むならできるだけ"変人"(変わった人)に声がけするべきである。そういう人は味わい深いポンコツ車に乗っていたり髪が長かったり、浄髪していたりする。浄髪とは仏弟子となりあたまを丸めることだ。彼らは東洋のスピリチュアル世界に傾倒しシンプルの中の贅(ぜい)を尽くす。だから真に豊かだ。心が豊かだからだ。
   この種の人たちは、いわゆる第三の目が開いているので相手の期待するところをいともかんたんに見抜く。そして良い方向へと導く力を持っている。だから自ずと良い、興味深い展開となる。

「晩飯は家で食べないかい」ギィの自宅へ出掛ける。ベジタリアンシチュー。近所の家々から薪ストーブの煙が立ち上ぼり、ドラマチックな夕暮れ時が始まる。大西洋と大空を濃いオレンジから紫色に染め上げて息をのむほどに美しい日没だ。

Santiago de compostela(サンティアゴ・デ・コンポステーラ)を目指すポルトガル巡礼の旅。自転車で大西洋岸を北上する。ポルトガルの沿岸ではハワイやタヒチをしのぐ大波が発生する。大波が立たない日でも人間の背丈を超す波高がある。
私は数年前サーフィンを始めた。ついてはポルトガルのサーフ・シーンもぜひリポートしてみたい。

サーフィンが次のオリンピックの種目になったのは喜ばしいが、まだまだ「サーフィンなど縁遠い・・」という人が大半だろう。私自身40歳台後半までは、サーフィンなど別世界のことだった。正直に言えば蔑視に近い偏見までも持っていた。偏見とはいつも無知によって生ずる。

始めるきっかけはいずれにしても最初の数回で挫折または興味を失う人が大半である。難しいからだ。ミーハー気分で始めると激烈パンチを食らう。常に溺死の恐怖と向き合わなければならない。チャラ男君は論外。少々スポーツに自信がある人でもほとんどはそのプライドが地に落とされる。そこからがスタートになる。

では、なぜ続ける人がいるのか。それはやっていただかない限りは説明が極めて困難だ。

Tシャツその他のグッズで巨万の富を産むサーフブランドがある。RipCurlやQuickSilverである。サーフボードに立って横に滑りその名前の由来がはじめて実感できた日があった。波に乗る。そして立つ。そこは瞬時にして別世界となる。巻きあがる波のくちびるがカールする。 一瞬たりとも同じ形をとどめることのない数万のしぶきが銀色に炸裂し太陽の光に踊る。あとには何もなかったかのように訪れる静寂と平安がある。

心の奥でそれを見てしまったものはまたそこへ帰って行く。

太古の昔から絶え間なく打ち寄せる波。太陽や月のちから、複雑な気象変化によってもたらされる波に舞う。これほど贅をつくした人間の行いが他にあるのだろうか。
・・つづく・・

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Santiago de Compostela巡礼の旅(3)【素晴らしき日々】

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