第1話 パパが女(アリッサ)になったとき/LA発トランスジェンダー家族日記

次話: 第2話 パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記

南カリフォルニア在住の愛です。はじめまして。2016年の5月、娘たちの父親で最愛の夫が(MTF:男性から女性への)トランスジェンダーだとカミングアウトしました。

LGBT、特にトランスジェンダーについて、伝えたいメッセージがあります。だから勇気をだして、私たち家族の体験記を書き記していこうと思います。

 

 

 

 

 

ビフォアーとアフター(2年後)のわたしの夫(今はパートナーです)の写真す。

 

 

夫がカミングアウトしたとき、周囲はみなわたしたち家族に同情しました。

 

 

「奥さんがかわいそう。子供がかわいそう」。そしてみなが聞きます。「もう離婚したの?」「いつ離婚するの?」。

 

 

日本から来たばかりの駐在ママに「アメリカでよかったね。日本だったら生きてけないよ。子供が絶対いじめられるし」と言われました。パートナーがカミングアウトしたとき、最終的に離婚する夫婦は 多いし、カミングアウトした本人が 孤独や鬱などで自殺するケースも少なくないといいます 。

 

 

わたしたち家族にも確かにつらい時期がありました。カミングアウト直後の2年前に書き留めていた日記には、怒り、悲しみ、不安、戸惑いがいっぱいで、あの頃の感情や出来事をまとめていたら、これは悲しみに溢れた悲劇の物語になっていたはず。

 

でも、今はだいじょうぶ。パートナーのアリッサは美しく自信を持ち、娘たちと私は強く優しくなりました。周囲の目を気にし、ママ友の反応に怯え、自分で自分を苦しめていたことに気付きました。起きてしまった事実をどう受け止めるかは自分次第ということに気付きました。 

 

 

「一家団結」とか「ほのぼの家庭」とかそんな理想の家族にはほど遠いけど、お互いの存在を大切にして、周囲の目を気にせず、堂々と生きていける自信が今はあります。いろんな気持ちの変化があって、夫がトランスジェンダーであることは私にとってもプラスなことなのかもと思えるようになりました。

 

 

書くことで女は救われる。昔、女性雑誌でこんなタイトルを目にしたことがあります。音楽もアートも苦手だし、自分の気持ちをさらけだせる友達もいなかったので、書くことで自分の気持ちを整理したかった。どんなに衝撃的な出来事でも、書いて記録に残さないと、日々の生活に追われ、10年後には自分たちに起きた大切な出来事をすっかり忘れてしまうので。

 

 

自分の書いた文章が世の中の人の 価値観とか意識をかえることができるとは思っていません。世間のトランスジェンダーへの偏見をなくすとかそんな厳かな目的ではなく、わたしたち家族の体験をもとに「家族のだれかがトランスジェンダーでも、なんとかやっていけるよ」とか、「こんな家族がいてもいいんじゃない?」という提案ができたらと思います。


次回はカミングアウトの日」について。

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