第2話 パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記
第2話 カミングアウトの日
パートナーのアリッサがカミングアウトした日のことを2年前に遡ぼって書きたいと思います。(長いので数回にわけて)2016年の5月のある日、私と娘たち(当時7歳と9歳)は父の日のプレゼントを包装してました。裁縫教室で娘たちが父親のためにTシャツを作ったのです。
長女のTara:「丈が長過ぎてチュニックみたいになっちゃったね」。
わたし:「だいじょうぶ、ダディはかわいい系が好きだから」。
オハイオ州生まれ、タイ系アメリカ人の夫は、昔から女性っぽいかわいい人でした。性格は優しくおっとり。顔立ちも美しい。歩き方やふとした仕草がしなやかで、持ち物もかわいい系が大好きでした。
すると娘からこんな反応が返ってきました。
「そうだよね、ダディはトランスジェンダーだもんね」。
これがわたしたち、LGBTトランスジェンダー家族の物語りのはじまりです。事実を知らされたのは夫からではなく娘たちから。ダブルショックでした。
「誰がそんなこと言ったの?」あせって問い詰めると娘は父親から直接聞かされたと答えました。
「何かの間違いに違いない」「娘の勘違いに決まってる」という強い願い。
それとは裏腹に心の奥底で「やっぱりそうだったのか」と諦めのような腑に落ちる気持ちがあったのも事実です。
すぐに仕事中の夫の携帯に電話して問いただすと「ごめんね、ずっと伝えたかったけど言えなくて」と夫。
青天の霹靂。衝撃のノックダウン。
まず頭に浮かんだのは「離婚」という言葉。
「結婚生活がこれで終わるんだ」という悲しみ。
わたしにではなく当時7歳と9歳だった娘たちに先に事実を伝えた夫への怒りと困惑。
正直に言うと、何よりも強かった感情は周囲の反応に対する羞恥心と恐怖心でした。
「ママ友に知られたら恥ずかしい」
「子供たちがいじめられたらどうしよう」
押し寄せる不安と恐怖で目眩がしました。
「今までずっと言えなくて辛かったね」といった夫への労りの気持ちを感じる余裕はまったくありませんでした。
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