第21話 パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記

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第21話 周囲の反応:娘編2


宇宙から来た青青人(せいせいじん)こと、アリッサ。
人間離れしてるねえ。

 
仲良し姉妹
 
 
 

占いの大先生から「この姉妹の絆はとても強く、相性が超抜群。ふたりでビジネスをしたら大成功を納める」と言われました。母はうれしい。

 

 

前回からの続き。アリッサがカミングアウトした後の娘たちの反応。

 

 

父親のカミングアウトを祝福し、女性へのトランジションを応援していた娘たち。

 

9月のある日の出来事を境に娘たちは父親のカミングアウトに羞恥心や憤りを感じ、アリッサに密かに反抗するようになります。

 

アリッサがカミングアウトしたのは夏休みのはじまる1ヶ月前。アメリカの夏休は6月の終わりから9月のはじめまで。

 

 

長い夏休の間、アメリカの子供たちは何をするのでしょうか?



サマースクールやサマーキャンプに参加。家族旅行。友達のお宅や自宅で遊ぶ(アメリカではこれをプレイデートといいます)、などなど。



 

娘たちもサッカーキャンプにアートキャンプ、プレイデートにビーチでの水遊びなど、長い夏休を満喫していましたが、基本的に家族で行動することが多く、カミングアウトしたアリッサが娘たちの友達に会うことはほとんどありませんでした。

 

 

この夏休みのあいだに服装、メーク、髪型とアリッサの外観は、じょじょに女性らしく変化していきます 。ただ、トランジションの途中で、すべてが中途半端。アリッサのことを知らない人が彼女を見たら「この人は女性?男性?」と首を傾げるような微妙な感じでした。

 

 

何事もなかったように平和に過ぎていった娘たちの夏休。そして新学期がはじまり、放課後の習い事や週末のサッカーなど、あわただしい日常が再開します。

 

 

娘たちは幼い頃からサッカーチームに所属していました。シーズンは9月から11月。平日に練習して、毎週土曜日は試合があります。

 

試合の日は、両親はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃん、時には親戚一同が応援にかけつけ、賑やかなゲーム観戦になります。

 

アリッサもわたしも土曜のサッカー観戦を毎年楽しみにしていました。



 

ある日の出来事。試合の合間の休憩時間にわたしたち家族のもとに娘たちのチームメートが集まってきました。(わたしたちは大きなピクニックシートを広げていたので、みなこのピクニックシートに座りたかったのだと思います)。

 

1人の女の子がアリッサのネールを見て聞きました。

 

「この人は誰?」

 

当時7歳だった次女がためらいもなく答えました。

 

「わたしのダディーだよ」。

 

「どうして男なのに、爪にマニキュアしてるの?」

 

「どうして髪の毛が長いの?」

 

「どうしてショートパンツはいてるの?」

 

7、8歳の女の子たちから質問の嵐。

 

私はスタンガンで撃たれた悪人のように、戦闘不能になりました。心に激痛が走って。

 

 

正直、どう答えてよいかわからなかった。こういった質問に応える準備がまだできていなかった。アリッサに救いを求める視線を送ったけど、アリッサも困った顔をするだけ。

 

咄嗟にわたしは「ニーシャ(次女のミドルネーム)のダディーはアーティストだから、みんなのダディーとはちょっと違う格好するんだよ」とうそをつきました。

 


罪悪感。

娘の前でうそをついた。

 

悲しみの海の底に沈んた悲劇のヒロインぶって、泣いてばかりいたわたしは、一番大切なことを忘れていました。


 

「子供たちを周囲の好奇の目から守る」事前対策。

 

 

長くなるので続きは次回。思いやりがあり、しっかりした娘たちですが、父親の変化、友達の好奇の目、悲しみに沈む母親を目の当たりにするのはとてもつらかったはず。怒って、反発するのは当たり前よね。


娘たちよ、怒りの鉄拳を母ちゃんにぶつけてこい!いくらでも受け止めてあげるから。

 


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