家族の崩壊 2 「空白の一年間、親父の黒歴史」

前話: 家族の崩壊 1 「今夜俺は、親父をぶっ殺す!」
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俺の親父は、福島県郡山市で生まれ、東京に越してきた。 
親父の両親、つまり俺の祖父母は山形県出身。 

結婚後、山形県から福島県へ移り住んだのだという。 
そして程なくして東京へ…。 

親父は東京の私立校に進学した。 
そこの電気科を卒業した。 

どういう経緯かは知らないが、親父は兵庫県尼崎市の会社に勤め、そこの同僚であった母と結婚した。 
21、2才の頃だという。 

だが、少しおかしいのだ…。 
親父の経歴である。 

ある時親父の履歴書を偶然目にすることがあった。 

高校卒業後、親父は一年間、第一ホテルという所でコックをしていた事になっている…。 

電気科を卒業した親父が第一ホテルでコック? 

昔から気になっていた職歴だった。 

そして母と知り合うきっかけとなったはずの尼崎の会社…それらしい名前は記載されていない…。 
俺が記憶にある親父の仕事は、独立して、ある人物と一緒に電気工の仕事をしていた事だ。そして親父はこの男に騙され、多額の負債を背負わされる事となる。 

よく母が親父に言っていた。 

『だからあたしは最初からあの男は胡散臭いって言ったんだよ! アンタまんまとあの男に騙されて!』 

事あるごとにこの話をしていたが、子供心に、この話しは質問してはいけないのだろうな…と感じた。 

そして謎の職歴…。 
本当に親父は電気科を卒業してすぐ、第一ホテルという所でコックなどしていたのだろうか…。 

この職業だけが親父の経歴の中で明らかに浮いている。 

そして母が蒸発する何ヵ月か前、俺にこんな事を言った。 

『お前の父親はね、◯◯◯ってとこに出入りしていたヤクザもんだったんだよ!』 

驚いた。 
その名前は広域指定暴力団として余りに有名な団体だったから…。 

しかし、親父が高校を卒業してから俺が生まれるまでは僅か四年だ。恐らく足を踏み入れたとしても短い期間だったのであろう…。 
そして母と知り合い俺が生まれるまでの年月を考えてみると…。 

やっぱり、高校を卒業してからの空白の一年間…。 
職歴を詐称していると思われるこの一年が、とても怪しいのである。 
そして一体、親父に何があったのだろうか…。 

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