第42話 パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記
この文章を書くにあたって、アリッサにいろいろ質問していたら、側にいた次女に「マミーはアリッサに許可をもらって、書いているの?アリッサはマミーがあれこれ書いて写真も載せて、それでいいの?」とちょっと心配されてしまいました。だいじょうぶですよ、すべてアリッサに許可をもらって書いてますからね。
さて、直撃インタビューシリーズ、第2弾、今回の質問は
「アリッサさん、LGBTQのお友達はいますか?他のトランスジェンダーのみなさんと仲良くしたい?彼らのコミュニティーに属したい?」
LGBTQの友達はいません。ソーシャルネットワークで知り合ったトランスジェンダーの人たちとオンラインで意見交換をしたり、困ったときにアドバイスを求めたりしますが、友達ではありません。会ってみたいとも思いません。
わたしの会社にはLGBTのサポートグループがあり、当事者と支援者合わせて全米で300名がこのグループに属しています。そのなかで3名のトランスジェンダーの男女と話しをしたことがあります。直接会って話をしたのは2名のみ。社内でカミングアウトするとき、2人にはアドバイスをもらいました。でも、話をしたのはその時だけ。社内のLGBTサポートグループはとても活発で、毎月イベントを開催しています。ボランティアとして参加し、できる限りのサポートをしていこうと思っていますが、このグループを通してLGBTの友達をみつけようとは思っていません。
もし偶然トランスジェンダーの人に出会い、彼、または彼女が当事者とわかったとき、たぶん、打ち解けて話をできると思う。でも自分から努力してトランスジェンダーの友達を探そうとは思いません。今の自分の状況にとても満足しているから。
トランスジェンダーとカミングアウトして、家族、友人、住む家、仕事を失う人がたくさんいるのは悲しい事実です。わたしは何も失わなかった。失うかわりに、たくさん人と知り合い、よい関係を築くことができた。昔からのヨガやバンド追っかけの仲間に加え、コスプレ、アニメ、ポールダンスを通して知り合った友人。わたしのカミングアウトは99%ポジティブな体験でした。残りの1%はタイランドにいる母親との関係。母の関係を修復できたら、100%満足ですね。
今、自分の居場所があり、幸せなので、他(例えばLGBTのコミュニティー)に助けを求める必要がありません。もし、差別を受けたり、つらい思いをしても、わたしには支えてくれる家族や友達がいる。だから、敢てトランスジェンダーの人たちと仲良くしたいと思いません。自分はトランスジェンダーだと自己主張せず、普通にひっそり女性としてわたしの人生を生きてゆきたいです。
わたしがアリッサと知り合った頃から、ずっとアリッサは現状に満足できる人でした。「あの日に帰りたいって思うことある?」とか「後悔はない?」という質問を繰り返すたび、アリッサは「今の自分が一番幸せ」「後戻りしたいと思わない」と答えていました。アリッサが幸せと思っているのを知って、わたしも幸せ。
次回の質問は「今後の目標は?」「老後はどんなふうに過ごしたい?」
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