アホの力 4-20.アホ、環境変化に乗っかる

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TVの取材陣を従えて転院した私。

この頃になると、食事や入浴、歯磨きなど、入院中の身の周りの事は何となくこなせるようになっていた。階段の上り下りはまだ少し難しかったが、院内の移動は杖歩行で行えた。

この病院はリハビリに非常に力を入れていて、リハビリの時間も少し長くとっていた。理学療法士や作業療法士がついて行うリハビリは、1日合計3時間取られていた。
行動の制限が緩くなっていたので、自主リハビリをするように勧めてくれた。以前の病院では『リハビリをやり過ぎると、身体に張りが出てリハビリの効果が薄れるので、やり過ぎには気をつけるように』と言われていたが、ここでは『どんどん自主リハビリして下さい。身体に張りが出たら、私たちがマッサージしてほぐしますから。』と言ってくれた。

これは心強い!


その上何と、リハビリ室を自由に出入りして使って良いとまで言ってくれた。
これはなかなか特別な事だ。何故なら、リハビリには怪我の危険性があるので、リハビリ室で器具を使ってリハビリを行うには、理学療法士や作業療法士がついて行う事が普通だからだ。しかしその制限が外れた。1日中リハビリ室で器具を使ったリハビリを自主的にやって良いというお墨付きをもらったわけだ。
こりゃリハビリしないともったいない。
かくして、エアロバイクやランニングマシン、ウエイトトレーニング用の器械を使っての自主リハビリがスタートした。

 

ここでまた、ニュートラルに自分を評価して行動するという考え方がプラスに作用した。
リハビリをやればやるほど、毎日少しずつ身体の状況はよくなっていく。『今日は昨日より腕が上がりやすい』『今日は昨日より膝に力が入りやすい』といった具合だ。

そうなると、どんどんリハビリをしたくなってくる。

その頃は、朝食前から病棟で腕立てや腹筋、スクワットなどを始め、朝食を食べ終わったらリハビリ室に行き、そこからひたすらリハビリ室にこもった。1日8~9時間はリハビリ室にいて、ひたすら器具を相手に汗をかき、字を書く練習をし、歩き廻った。

この頃は、とにかくリハビリが楽しくて仕方がなかった。
目標にしていた『右手の人差し指を伸ばして、エレベーターのボタンを押す』事はまだ出来なかったが、指を伸ばせる時間も少しずつ長くなってきていた。
上手く環境変化に適応していたのだ。

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