アホの力 4-21.アホ、よけいな事を考える

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環境が変わり、リハビリのピッチもぐんと上がった私であったが、場所が変わっても病院は病院、変わらない事もある。

それは、当たり前だが『患者が入院している事』だ。前述の通り、この病院はリハビリに力を入れている。という事は、リハビリ入院の患者が多い、それも脳卒中の後遺症の患者が大半だった。
そういう人たちは、大抵『辛い』『苦しい』を連発しながら過ごしている。なので、院内の雰囲気がとても重々しいのだ。
そして、そこで働くスタッフもその雰囲気に引っ張られる。看護師はそうした雰囲気に慣れてるのか、あまり重々しい感じは出していなかったのだが、リハビリスタッフはもろに影響を受けていた。毎日大勢の患者と、丁寧に会話をしながらリハビリに取り組むのだ。そりゃ影響も受けるだろう。

『どうにか救ってあげたい。』

『でも自分はまだまだ技量不足だ。』

『どうすれば良いのだろうか。』

という具合に、悶々と過ごすリハビリスタッフが多いなという風に思っていた。

リハビリスタッフは、若い人が多かった。ほとんどが20台、その世代は、迷いの多いなの世代かも知れない。社会人として働き始めたばかりの人が感じる、自らを『半人前で中途半端』だと感じるジレンマもあるだろう。ましてや、リハビリスタッフは技術職でもあり、生身の人を相手にする仕事でもある。それに、リハビリスタッフを志そうとするくらいなので、みんなとても生真面目なのだ。患者の『マイナスのエネルギー』を受け流す事なく、日々受け止めていた。

私を担当してくれた理学療法士からも作業療法士からも、そんな雰囲気は感じた。とても明るく話に応じてくれたが、たまにそうした『迷いの断片』が顔を覗かせる。リハビリスタッフはリハビリをリードする『導師』でもあるので、あまり悶々とされるのも困る。なので、せめて私は

“変なエネルギーを出して、リハビリスタッフを困らせないようにしよう”

と思ったのだった。とはいっても、その頃の私の精神状態は、マイナスのエネルギーを出すような状態でも無かった。リハビリを『楽しい』と思っていたくらいだし。

 

その事から派生して、こんな事を考えるようになっていた。

『良い病院って、一体どんな病院だろう?』
それまで入院してきた病院は、どの病院も大きなトラブルもなく、不快な思いをする事も無く、快適に過ごせる『良い病院』だったと思うが、じゃあ理想の病院ってどんな病院だろう…また余計な事を考え始めたのだ。

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アホの力 4-22.アホ、事故る

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