アホの力 5-2.アホ、帰る日を決める
もともと南相馬は海も川もとても綺麗で、そうした場所が遊び場になっていた。それらが原発事故で奪われてしまった。一時期は、海や川だけでなく、屋外のプールまで使用禁止とされ(今は解除になっている)、子供達が水と接する場所が無くなってしまっていた。
このまま子供達が水と接する事無く過ごす事は、健康面においても精神面においても良い事は無いだろう…そんな事を考えていた男がいた。
南相馬に、子供達が安心して遊べる場をつくろうという市民活動『みんな共和国』に加わっていた、市内の保育園の副園長、通称『メロス』だ。
私がまだ埼玉の病院に入院していた頃(確か2013年の5月だったか)、メロスが見舞いに来てくれた。その時に
『実は、じゃぶじゃぶ池という、子供達が水と触れ合える池をつくろうと思ってる』
と話してくれた。
聞けば、噴水のような循環式の親水池だという。とても良いアイデアだと思ったが、実現するにはクリアすべき課題が山積みだ。
それを『この夏に間に合わせる』つもりだという。
いやいやいやいや!いくらなんでも無理なんじゃね?
とは思ったものの、私は入院中だ。このメロスという男の突破力は並じゃない。もしかしたら…そんな期待感はあった。
その後、メロスは物凄い馬力で、数ある課題をクリアし、じゃぶじゃぶ池建設を実現させてしまった。
私が退院した頃には、池のオープンに向けた最後の仕上げの工事が行われていて、お披露目となるオープニングイベントの日も決まっていた。
何とそれは、私の退院の翌週だ。
このオープニングイベントには、何が何でも出席しないと!
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