【最終話】大人も子供も夢中になる!遊ぶだけで自然と数学の力が身に付くトランプゲーム「計算ブリッジ」開発秘話・その8
●「楽しい」は、全てにおいて優先される
算数や数学は、正解と不正解がハッキリ分かれる科目です。正しく正解が出せる子は、同じような問題が出てきても正解が得られるので、きっと「好きな科目」になると思います。しかしどうやっても正解が出せない、もしくは、正解を出すためのルールを理解していない子にとっては、算数や数学は考えても考えても「どうしてこの答えになるのか?」が分からないので、とても苦痛な時間になるでしょう。そのため「嫌いな科目」になってしまうのではないでしょうか。
さらに、算数や数学は、「どこかで理解するのを止めてしまうと、途中で再スタートしても効果が上がらない」科目だということも「算数/数学嫌い」の子供たちを増やしてしまう原因になってしまっていると思います。
これほど理解するのに労力が必要で、しかも1か所でも考え違いや計算ミスをしてしまうと途端に正解にたどり着けなくなってしまう科目が算数であり数学なのです。
だからこそ、「楽しい」を全てにおいて優先させることが大事なんだと思っています。
「計算ブリッジ」は、計算ミスしても笑ってその計算を修正することができます。時に、計算ミスするとペナルティで2枚カードを引かなければならないこともありますが(公式ルールはそういうルールになっています)、そのペナルティを受け入れることで、「ミスをした」とか「不正解の答えを出した」という事実を帳消しにすることができます。そうやって、周りの子たちと「楽しみながら」自分の計算方法や考え方を修正することができるのが、この「計算ブリッジ」の特長です。
前に書いたストーリーの中で「自然とそういう考え方が生まれてくる」ということを書きました。ここも大切なポイントだと思っています。このゲームに勝つための戦略を考えようとすると、実はそれが論理的に出来上がっていくということが分かると思います。
「どうして九九を覚えなきゃいけないの?」
「どうして割り算を覚えなきゃいけないの?」
「どうして倍数とか約数とかの性質を知らなきゃいけないの?」
学校ではカリキュラムがありますので、「教えることが有りき」でこれらの理由を「説明」して、子供たちに理解させて、先に進めようとします。その流れに乗ることのできる子供はいいのですが、もしその疑問に引っかかってしまった子は、その先に進んでいくことが難しくなってしまうかもしれません。
「楽しい」から「負けてくやしい!」「次は勝ちたい!」「勝ったら嬉しい!」という直情的な気持ちを優しく支えてあげることで、自然と勝負に勝つための思考は論理的になってくるし、またその説明もしっくり理解できるものになるのだと思います。
まずは、算数や数学を「楽しみ」ましょう。論理は、その後からでいいのです。
ここまでこのシリーズを読んで頂きありがとうございました。ご意見やご感想など、もしお聞かせ頂けたらとても嬉しいです。「計算ブリッジ」が、1人でも多くの算数/数学好きの子を増やすことができることを、そして1人でも多く算数/数学嫌いの子を減らすことができることを心から願っています。
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