【4】痛みと温度が同居した日 ~息を切らせて本屋に駆けた あの日~

前話: 【3】痛みと温度が同居した日 ~決意の瞬間~
次話: 【5】痛みと温度が同居した日 ~映画監督との出逢い~
高校1年生の春と夏のあいだ。


学校をさぼって映画館へ行ったのを思い出す。
平日の昼間はほんとうに人が少なくって
貸切のような贅沢な環境の中で スクリーンを独り占めできたんです。

今のようにシネコンがなかったから
単館どくとくの 古い匂いがしました。

制服を着て家を出て、横浜の駅前で私服に着替えた
自分だけの秘密のじかん。
とても愛おしい ソノじかんは宝モノ。


そんなある日の昼下がり、家でごろごろしながら 購入したての雑誌を
まるで宝探しするようなキモチでめくっていました。

女優になると決めてから ずっと購入し続けていたオーディション雑誌。
けれど3年間、わたしの直感に響くものとは出会えなかった。
それでも きっと巡り合えると信じていました。
そんな思いもありながらページをめくると・・・

次の瞬間・・・息が止まりました。

どきどきした。
ずっと探していた6文字が目に飛び込んできたとき。
ほんとうに どきどきした。

そこには 映画主演女優・・・・募集とあった。
映画の原作は内田春菊さんの「ファザーファッカー」

わたしはどきどきしたその鼓動と
また抑えきれないほどの衝動にかられ
直感が「これだ!」と思った その瞬間には本屋さんへ駆けていました。

タイトルからして普通のお話ではないと分かったし
告知には 裸のシーンがあると掲載されていました。

でも わたしは3年まって やっと巡ったこのチャンスを逃したくなかった。

何でも良かったんです。
裸だろうと なんだろうと わたしが決めていたのは
映画で主演女優としてスクリーンデビューすること。

迷いは一切ありませんでした。

本を読んで決めようと思ったわけではなくて
あまりの鼓動と衝動に 自分を見失いそうになるくらい感動していたんです。

だから とにかく本屋に駆けだしました。

その時のわたしは きっと はじめて生きた瞬間だったと思います。



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【5】痛みと温度が同居した日 ~映画監督との出逢い~

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