プロフィール第八回

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一難去ってまた一難。
18になって、過去の私と決別しようと思ったのに、なんでまたこんなことに。
社会人デビューどころか、会社に殺されかけているような現状。
入社したての頃、何もわからず、先輩や上司の言うことを聞いていました。
でもやっぱり「この人達おかしくないか?」と思うようになったのです。
そんなとき、私の唯一ホッとする時間というのは、お昼の休憩中に、昼ご飯もそこそこに、ファッション雑誌を読むことでした。
暗く狭い更衣室でうっとり眺めていました。
この、ほんのひとときが、私にとって憩いであり、この不純にまみれた世界から抜け出せる時。
ファッション雑誌を見ると、メイクも服装もとて可愛い同年代の女の子たちがこっちを見て、クールに、可愛く微笑んでいます。彼女たちを眺めている時だけ、美しいものに触れていられる。自分に降りかかる汚れが、清められるようでした。会社で自分に向けられる罵声や嫌み。そんな悪意のない世界。そこでの居心地がよかったのです。
雑誌を読んでいると、次第に小説も読んでみたくなりました。本を読んだら、
「賢くなれるんじゃないか?」
「別の世界へ行けるんじゃないか?」
と、なんとなく思っていたからです。
実際のところ、Popteenを読んだら別世界をかいま見ることができたし、その世界の住人になれた経験をしました。
「きっと今回も。変われるに違いない。」
ちなみになぜ小説かというと、本というものを全く知らない私にとって、本イコール小説だったからです。
手始めにタイトルが気になった「人間失格」という本を読んでみました。漫画を読むようにスラスラ読めた記憶があります。情景がありありと浮かびました。ダメ主人公「大庭葉蔵」のことを、私は「本当最低」と思う部分もあったし、共感できる部分もありました。この主人公は、いつも他人を笑わせて、おどけてみせて、「人間への恐怖」を悟られまいと必死でした。私にもそれがありました。
国語が好きだったせいか、太宰作品を皮切りに小説に夢中。気づけば50冊くらい小説を読んでいました。
頻繁に小説世界へ遊びに行くようになっていたのです。
だんだんと自分も書きたくなり、夜な夜なパソコンで非公開小説を創作したりして遊んでいました。
副産物として、本を読んだ分だけ、文章を書いた分だけ、賢くなった気がしました。

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プロフィール第九回

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