ゆり子の扱い方を知る

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その先輩の名前は「ゆり子(仮名)」

私の勤務初日からキレていた彼女は、私より5歳も若く、当時20歳そこそこだったと思う。だが、仕事は誰よりもできる人だった。それゆえ、営業に対して厳しい言葉をかけたり、何かにつけて物に当たっていても、同僚はおろか上司も何も言えないという状況だった。

もちろん、私もその時の機嫌により当たられることは、一日に何度もあった。

ただ、私も黙って耐える人間ではない。

どうにかして、この先輩を好きになりたいと思った。なれると思った。

その日から私は彼女を観察しはじめ、まず最初に気づいたのは、『朝の機嫌が一日に大きく響く』というものだった。

制服を脱いだゆり子は、勤務中の横柄な態度はどこへいってしまうのか、別人のように存在感が無い。その時ばかりは、白い肌がより一層白く見え、どうにも生気の無い、幽霊のような存在になるのだ。

それゆえ、出勤して更衣室に入ってきても、あまり気づかれることも無く、挨拶もしない事から、端から見たら”無視”されてる存在にみえた。(実際、日頃の態度から煙たがられていたけど)

ただ、彼女のパートナーとして仕事をしている私は、ゆり子センサーが発動しているので、更衣室に入ってきたら瞬時に気づいてしまう。

そこで、私は毎朝、挨拶にプラスして話しかけることを始めたのだ。


おはようございます、今日暑くないですか~

おはようございます、なんか体調悪いですか?

おはようございます、ちょっと聞いてくださいよ~


毎日毎日やり続けた。


こうして続いた日々。少しずつ対応が和らいでくるのを感じ始めたのは3ヶ月くらい経ってからだろうか。さらに追い打ちをかけるように、私はある行動にでた。

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ゆり子の本音

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