20歳目前の愛猫の死、理想的に見送れた話 ~看取りのプロが自分のペットとどう向き合ったのか~前編
もう生きていてくれるだけでいいと思っていたし、以前ベッドに排尿されたことを思うとフローリングなら拭くだけで済むから全く問題はなかった。
2018年初夏:嘔吐が始まる
初夏に入り、嘔吐が頻回になった。
昔から定期的に手玉を嘔吐していたのだけど、それとは明らかに違う嘔吐。
1日1回~数回嘔吐をするようになった。
ミーシャ:「グエッ、グエッ・・・」
私:「あ、ミーシャ、吐くんだね」
私は急いでティッシュと両手をミーシャの口の前に持ってきて嘔吐物をキャッチ。
ミーシャ:「あー、すっきりしたー。お腹空いたニャー♡ごはん、ごはん♡」
嘔吐した後はケロっとしてご飯をモリモリ食べる。
しかし、食欲はあっても嘔吐するので痩せていき、とうとう夏前には体重が2㎏を切ってしまった。
ああ、いつまで一緒に過ごせるのだろうか。
今まで過ごしてくれたことに感謝しかない。
そんなことを想いながら毎日を過ごしていた。
私は、ミーシャを自宅で看取ること、病院には連れて行かずに自然な形で見守ることを、この時よりも、ずっとずっと前から決めていた。
看護師として沢山の患者さんを看取ってきた私にとって、ミーシャが病気や死期が迫った時の対応について、ミーシャが若い頃から考えることは当たり前のことだった。
なぜならば、病気になった時や死について考えることは結局、「今」をどのように生きるか考えることだから。
だけど、困ったことに「ミーシャはどうしたいのか?」それを直接聞くことが出来ない。
そこで、「私自身がミーシャとどう過ごしたいのか?」を考え、「ミーシャだったらどう思うのか?」をミーシャの行動や性格から感じることにした。
ミーシャは病気知らずだったけれど、爪切りで大暴れして私1人では対処できず、爪切り目的で病院に行くことがあった。
私:「ミーシャ~♡爪切りに、病院行くよ~♡」
ミーシャ:「嫌~!!行きたくない!!何するのよーーーー!!」
移動用の籠を見るなりダッシュで逃げるミーシャ。格闘の末、籠に入れられ動物病院へ。
医さん:「はい、ミーシャちゃん、爪を切りますよ~」
ミーシャ:「嫌じゃ~!!!やめろーーーー!!!」
獣医さん:「○○さん、ちょっと手伝ってーーーー」
ミーシャの肉球は汗でびちょびちょ。
身体も汗でしっとりする程緊張しながら抵抗する。(猫はあまり汗をかくことがない動物なのに)
結局、カラーを装着し3人がかりで何とか爪を切るという具合だった。
また、1度だけ動物病院併設のペットホテルに数日預けたことがあった。
私:「今回は、いつものように家で留守番をさせることが出来ないので、ちょっとホテルに泊まって欲しいの」
ミーシャ:「ホテルって何だ?」
意味がわかっていなかったミーシャ。
用事を済ませてペットホテルに迎えに行った時のことだった。
私:「ミーシャ、ごめんねー♡迎えに来たよ~♡」
ミーシャ:「シャーッ!!!何してくれてんねん!!!こんなん聞いてないぞ!!」
(注:ミーシャは女の子です)
私:「ごめん、ごめん。もう大丈夫だから家に帰ろう♡」
ミーシャ:「シャーッ!!こっち来るな!!あっち行け!!シャーッ!!許さん!!どれだけ怖かったかわかってないやろ!!もう絶対許さんからな!!」
すごい睨みをきかせながら、全身の毛を逆立たせてシャーシャー言って怒ってる。
牙を剥き出しにして威嚇しながら、猫パンチを炸裂させるミーシャを、どう頑張っても檻から出すことが出来ず、看護師さんが手袋をつけて何とか籠に入れてくれた。
自宅に戻っても機嫌が直らず威嚇し続けるミーシャと平謝りする私。
私:「ほんと、辛い思いさせてごめんねー」
ミーシャ:「シャー!!許さん!!絶対許さん!!」
その後1か月くらい、カーテンの奥に隠れてシャーシャー言いながら睨みをきかせて怒っていた。
病院は辛い場所だと痛感した私は、例えミーシャが病気になったとしても、治療はせずに自宅で自然の形で看取ること、食事や水分が摂れなくなっても痛い針を刺しての点滴や入院もしないことを決めたのだった。
その代わり、病気にならないようにと食事や水分摂取には気をつけた。
中編につづく
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