スタートライン 22

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 それぞれが店の理想像を語った。かずは海での遊びを気軽に出来る場所にしたいと言っている。とにかく海が好きなので、ダイビングに限らずす潜りや釣りもみんなでしたいらしい。僕らはその考えを肯定した。松田はみんなで楽しい思い出を作りたいと返し、ユイも気軽に色んな海に行ける店がいいと話した。海外や沖縄や和歌山など、ダイビングが出来る海は沢山ある。全員一致する理想は、ずっとみんなと楽しい時間を過ごしたいという点だ。多少の違いはあるが、目指すゴールは同じ所にある。
 その為に解決しなければならない問題は多くあった。膨大な量ではあるが、絶望はしていない。

 まだあきらめるには、早すぎる。まだまだやれる事は沢山ある。あきらめるのは、それをトコトンやりつくしてからでもいいはずだ。事業をしたり夢を叶えている人を見てて思うのは、才能やセンスがあるよりも「あきらめない」人の方がずっと成功確率が高いのでは?と考えている。何故かというと、みんなすごい早さであきめるからだ。「しばらくその道を進むだけでライバルがどんどんいなくなっている」という現象がよく起きてる気がする。
 好きな事しかしていない様に見える有名人も、めちゃくちゃ努力をずっと続けている。
 好きな事だけしているように見えて、あきらめたり我慢している事は沢山あると思う。その中での圧倒的努力。時間は有限だ。凡人の自分は何かしない事を増やして時間を増やさないと時間は作れない。すごい人たちの姿勢や覚悟や熱狂を真似したい。好きな事、成し遂げたい事があるから、二十歳の時「全力で生きてみる」道を選らんだ。人生が一度だけだからこの道を選んだ。三回位あるのならこの道を選ばなかったかもしれない。当然シンドイ事もあるし、それ以外の好きな事が出来ない時もある。けど、覚悟を決めているから平気だ。起業してからもそう生きている。
 好きな事をして生きる、という生き方を選んだが、それは好きな事しかしないではない。
 
 やれるだけやってみる。それに、失敗かどうかはまだ決めなくていいんじゃないかな?と思う。人生は長い。今思う失敗も、次の成功への経験となるし、より人生に厚みをもたらせるんじゃないか。幼稚園、小学校とか僕らは沢山失敗し、その都度成長してきた。大人からしたら子供の失敗は学びと成長のチャンスだ。それは今もそうかもしれない。子供の頃は、親や先生が成功か失敗か教えてくれていた。大人になると、自分で判断しないといけないと思うかもしれないが、自己評価って難しい。自己評価しつつ、うまくいっていたり夢を叶えた人に聞いてみるのがいいと思っている。そういう人たちは大抵、みんなシンドイ経験をしているし、それを失敗と言わず「良い経験」と言っている。
 起業は簡単に出来るが、継続させるのは簡単ではないし、キレイではない。これはきっと起業しないとわからないだろう。起業はドロドロとした苦悩とセットだと肌で感じている人は多いと思う。

 思えば、起業をスタートさせた時からそうだ。前の職場を僕は急遽やめた。これにはそれなりの理由がある。誰にも本当の理由を言わずに退職したが、松田があの電話をかけてきた後に打ち明けた。多くは語らないが、やめなければならない理由があった。やめると決意する数ヶ月前まではまさか自分がやめるなんて考えもしなかった。組織のナンバー2という立場もあったが、誰もが僕はずっとその中にいるものだと思っていただろう。急遽やめる事になったので、起業の準備をする時間は限られていた。ない時間で、成功するかしないかわからない状態で起業した。混乱していたが、少しも後悔はない。むしろ、独立して良かったと思う事しかない。もっと準備時間が欲しかったが、ないものは仕方がなかったし、当時はそれを嘆く時間すらなかった。あれから店は随分と変わった。起業時が第一章としたら、今は第二章と言えるだろう。第二章、悪くはない。このメンバーならばやりきれるはずだ。

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