最愛のビッチな妻が死んだ 第41章

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交際51日目 4月8日
 深夜、あげはとの会話。

「イースターし忘れてる。復活祭。日本じゃないし、いいかな」
「イースターエッグ食べるのか」
「スプーンで運んだり」
 クリスマスがイエス・キリストが産まれた日なのに対して、イースターではキリストの復活という奇跡が起こった日で欧米ではクリスマス以上に重要視されているらしい。行事事が好きなあげはは中学生時代、アメリカに留学していたので、海外の行事事もやりたがっていた。僕はあまり興味がなかったのでハロウィンのようにコスプレをするのかと思って聞いてみた。
「イースターバニー、やる?」
「何それ。着ましょう」
 僕は最近のあげはの写真を見せた。
「やめろ」
 本人は最近、太ったと感じ、最近の写真をイヤがっているようだった。
 僕は恋人の体型の変化に動じないタイプなので気にもしていなかった。ただ、僕は過食すると嘔吐する癖があるので、僕と同じ食生活をする恋人だけが太ってしまうことは以前にもあった。
 
 僕は昼から仕事で出社する必要があったので、寝てるあげはを起こさないようにそっと家を出た。
 昼過ぎ、あげはからラインが入った。
「おはよ」
「ごめん」
「あと、ありがと」
「いってら!」
 おはようの挨拶とお見送りできなくてゴメンと寝ているあげはを起こさないでのありがとうと、行ってらっしゃいがまとめてきた。いつだって、あげはは愛情でも感謝でも、感じたことや思ったことはすぐに伝える。あとにコレはとっても大事なことだと痛感させられた。

 今日はこの週の給料日だった。
「振り込みありました〜」
「おめでとーー」
「これで暮らしていけるな」
「玉ねぎ玉ねぎ」
「帰り買おう」

 意外にもやらなくてはならない事務作業が多く会社滞在時間は6時間を経過した。
「会社飽きたな〜」
「あー寝てた。体がなんか変」
「風邪かな?体調悪いのかな」
「風邪ではない。ちゃんと安定剤飲もう」
「心配だな。熱や咳はある?」
「だから、風邪じゃないってば。どちらかというと、心の問題。言わせないでよ」
「わかった。ゴメン」
「でも大丈夫。ごめんね」
「どちらにせよ、心配は心配なのよ」
「せめて、具合悪い時もかわいく具合悪くなりたい。よし、治った。コントロール可。会社飽きたの? さらう?”」
「仕事だから平気。終わったら、あげをさらいに帰ります」
「待ってます」
 このころの僕はあまりにもあげはの病気に関して無知過ぎた。具合が悪い=体調が悪いではなく、頭の異常や状態が良くないことを察してあげられていなかった。

 あげはから、昔撮ったであろうリスカ写真が送られてきた。
「カメラロール掃除してたら病んだスクショ発見。昔の病んだ自分を下に見て、今は病んでいないと言い聞かせるという作戦が功を奏す」
「10時前には出れるよ」
「了解。明太子食べたい」
「デスクがメシ食いに行き…待ちに…」
「ポコポコがあるでしょ」
「職場だよ〜w」
「えーと、じゃあ、テープ起こしのフリ!どうしよっかな、とりあえず炊飯しとくかな」
「炒飯と餃子か」
「え、また!じゃあせめて水餃子にしよう」
「冗談だよ」
「実は常にちょっと餃子腹のあげがいます」
 他愛のない会話、今となっては全てが愛おしい。
 
「一人だし、帰ってすぐ余ってた米でお茶漬けた。一人って、どうでも良いね、メシ」
「バスないな」
「電車?車出す?」
「行けるとこまで帰る」
「普通に電車あるやん。どうしたら?」
「まだ電車ありそうだから、大丈夫だよ〜」
 あげはの友人である写真家のインベカヲリ☆さんに撮影されている風景写真が送られてきた。
「モデル力が落ちている。あげの中のあげはもうちょっとかわいい」
「かわいいよ」
「これはデジの試し撮りで、ネガを見るのが怖いわ。共輔の方がかわいいよ」
「んなわけがない。買ってくものは?」
「明太子と、ジュースと、玉ねぎと、じゃがいもと、にんじんかな。ケータリングの材料を買わなくてはいけないと、さっき気付いて慌てている」
「スーパー開いてるかな」
「開いてるといいな」
「明太子は1パック?」
「写メを!あー、シーキチンにしようかな。経費削減で」
 僕はスーパーで明太子の写真を何枚か撮り、あげはに送った。
「3枚目のって、1枚目のより少ない?」
「一緒かな」
「3枚目の。で、お願いします」
「OK」
「あ、量少ないわ。1枚目で」
「うん。40個分、足りるかなーー。まぁ足りなかったら足りなかったで、どうにかするわ。して今夜、何食べる?今のところオムライス、か、ナポリタンの二択だけど。それか油そばか餃子ライス。ラーメンと餃子」
「ナポリタン!」
 僕はレジ打ちする店員を横目に今晩の夕食を遠隔操作でオーダーしていた。

「買った〜。が、バスがこない」
「ありがと〜。炊飯してしまった。明日の朝ごはんやな。言い忘れてたけど、仕事お疲れ様」
「じゃあ、オムライスで!」
 ご飯が炊けているということで僕は早速メニューを変更した。
「たんぽぽオムライスにしてみよう」
「あ、あげは餃子腹?」
「んーん、いつでも食べれるから。昨日食ったし」
「沼袋経由で帰るなら、西友で買えばよかったなw」
「どこで買ったの?」
「江戸川橋」
「はじめまして」
「馬場に向かうバス停前」
「大量のキャベツを何かしたいな」
「キャベツしゃぶしゃぶは?」
「白菜もまだあった様な」
「野菜鍋だね」
 あげはからクックパッドのレシピが送られてきた。
「これかしら」
「おいしそ」
「便利よ。会員登録しなくても、つくレポ上位から表紙される裏技」
「馬場駅発、10分くらいで沼袋着くよ」「歩いてる」
 この日の夕食はタンポポオムライスとなった。インベさんに撮影してもらった画像を見せられ、僕はかわいく撮れてると思ったが、あげはは「太ったなーー」と不満顔であった。この時に撮影された写真は先日、写真展で発表されており、写真集として販売されているはずである。

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