最愛のビッチな妻が死んだ 第42章

前話: 最愛のビッチな妻が死んだ 第41章
次話: 最愛のビッチな妻が死んだ 第43章

交際52日目 4月9日
 
  この日、僕は会社で会議であったため、昼過ぎに家を出た。

「いってらっしゃいませ」
「いってきます」
 無事、行ってきますのチューを終えたあげはから、見知らぬ女性の写真が届いた。
「手が付けられなかった時のマリア」
「ゴメン、ちょっとおもしろいな…」
 めちゃくちゃ、いろんな物が溢れた部屋でその女性はクマのぬいぐるみを大事そうに抱いていた。
「ファーファ?」
「いや、知らん。メンヘラの中では一番好きだな、この子が」
「いい子なん?」
「とてもね。間違いやすいだけで。部屋はもちろん、めっちゃ汚い。パイプとネタ写ってるし」
「クスリとうまく付き合えるなら、よいが」
「全部やめさせた」
 あげはは周りのメンヘラから慕われており、よく相談などを受けていた。

 会議が始まる前、僕はその当時、編集部で流行っていた地方から新幹線で帰ってくる芸能人を品川駅で待つという非常に効率の悪い張り込みを命じられた。
「10時から例の品川駅張り込みに…」
 あげはから「オーマイガー」のスタンプがきた。
「そのまま、CRANK向かうわ」
「うん。あげの親友を紹介する。キョウスケ、で、入れる様にしとく。渋谷の磯丸水産の下ね。『東京354CLUB』
 この日はお義父さんの太一さんが月一で渋谷で主催しているテクノパーティ「CRANK」の日だった。

「ありがとう。張り込みだから、地味なカッコでしかいかんよ〜」
「地味なカッコが不本意なのは伝わった」
「あげはに恥かかせてはいけないからな」
「まだあげはって言い慣れないのに、ラインではあげはって呼ぶのね。かわい」

 パーティで出すケータリングの料理を作っているはずのあげはから、突然のギブアップ宣言がきた。
「ごめん。ケータリング、洗濯、重曹、掃除、は、あげのキャパ超えてる」
「会議終わったら、帰宅して手伝うから大丈夫だよ。途中からでゴメンよ」
「洗濯物は、干した。適当だけど。ケータリングは、追加を作ってる。順番に、順番に。落ち着いて! ケータリング終了」
「会議終わった」
「お疲れ様です。じゃがいも1.5kgも使ったのに、25個しかできなかった」
「じゃがいも買ってく?w」
「もう見たくもないです!」
「じゃがいものことを嫌いになっても…」
「前田敦子!? 過呼吸ならなきゃ。てゆーかそろそろ洗濯物しまわなきゃ。さっき干したのに」
「ひっひっふ〜」
「それはラマーズやな」
「鋭いな」
「昔ラマーズを会得しに海外に留学してたもので」

 僕は帰宅して、洗濯物の取り込みから手伝った。
「なんで、なんで布団に触れる様に濡れてる洗濯物を干すのーー!」
「ゴメン。ズラして干したつもりで」
「ドアの隙間からパンパンに膨らんだフロモックスが出てきた。おたくの奥様、」中野で一番心が折れてるらしいよ」
「どした」
「何から手を付けていいかわからない病。あ、食器洗い洗剤、頼めばよかった」
「あ、買ってくるわ」
 僕は近所のマツキヨに遠征した。あげはに数点の食器洗い洗剤の画像を撮って送った。」
「どれ?」
「なんかピンクの。ロイヤルハニー」
「了解」
「フランボワーズ嫌いだから」
「左でよいのね?」
「うん。もう帰路よね」
「まだマツキヨ」
「とち狂って、パーティに備えて菜の花のペペロンチーノの下拵えしてる。あ、ケーキ作り忘れてる!」
「お」
「アレやな。ヤバいな」
「間に合う?」
「いや、材料ないし間に合わない。あっても時間的に無理。買うという方向で」
「リアル誕生日祝えばいいんじゃない」
「その時は作る。ヤスシ、甘い物嫌いだから寿司ケーキでも作るわ。5分現実逃避する」
 僕が張り込みに出かける時に、あげはからウエディングドレスを着た画像が送られてきた。

「いってらっしゃい、新郎。ウェディングドレス、似合うな。また着たい」
「いってきます。マーカー忘れないようにね」
「ウェディングドレス、似合うな。また着たい」
「着る?」
「毎日着たい」
「あげは似合うとこ、一番近くで見たいな」
「反応がないと、二回送るシステムとなっております。超王道なの、着たことない」
「白いの?」
「白くて長くてベールみたいなの」
「写真撮るとき借りる?」
「痩せなきゃ!でもあげ、次は明治神宮で和装って決めてるの。。ハワイで写真撮る!」
「ハワイか〜イイね」
「付き合う前から、言ってたはず。超ベタなのがしたいって」
「まずはパスポート取んなきゃね」
「父からの絶大な信用」
「母がくれたいたわり。急に1人で張り込みに…帰るかなwとりあえず、オシッコ行こう」
「相方に裏切られたの?」
「10時から朝までの張り込み頼まれて」
「堂々と断る僕と、おずおずと了承したいカメラマンさん」
「太一、黄色い服持ってないって」
「あげ、黄色。ダイチさん、赤は?」
「あげもう赤着ちゃった。あげも黄色持ってない」
「黄色…ウチにあったかな」
 この日、誕生日が近いヤスシさん(創価学会員)のため、学会カラーで3人で行こうと計画していたのである。
「とりあえず、あげが金髪だから三食揃った。三色。出るーー。物凄く腰が痛い。キッチンのせいな気がする」
「後ほど!」
「ケーキとケータリング忘れて遅刻。凡ミス。怒られている」
「あげは、うっかりさんだから」

 あげはから芝桜祭りの画像が送られてきた。
「行きたい」
「どこ、これ?」
「秩父だって」
「車で行けるな」
「うん。埼玉。行こう。サンドイッチ作る」
「むう…明日昼前から張り込みに…」
「あらら。頑張って朝起きてお見送りする」
「早めにCRANK顔出して終電で帰ろうかな…フリー仕事間に合わん」
「まー、無理せずに。寂しいけどね!」
「今晩中に張り込み成功したらいいのにな」
「誰か芸能人、行かせようかなww」
「電話出なきゃよかった…w」
「泣いちゃうよ」
「早めに行くよ」
「今度でいいよ。毎月あるし」
「毎回顔出すよ」
「半勃起押し付けられてたら助けてね」
「了解」
「01:00過ぎないと暇だよ」
「タクる金があればね…」
「あるある。ケーキ代」
「じゃあ、2時前ぐらいまで」
「まだ誰もいなーい」
「買う?」
「千円の剥奪に失敗! 大きさ見て、そんなせんやろ!とバレるww共輔が払ったからわかんないと言ったけどww」
「正直に申告しなさい」
「パーティっていつも、10人くらい入るまで不安だ」
「ってことは、終電で帰宅…」
「1400円はゲットした」
「正規料金w」
「だってバレたしww」
 この日の張り込みの成果はなかったが、CRANKというあげはが大事にしている空間で、「あげはの恋人ですって」紹介されまくるのは悪くなかった。
 三色旗は特にツッコミを受けなかった。僕は明日の張り込みとフリーの仕事があったため、終電で帰った。クラブはよく言っていたけど、ヒップホップがメインで行っていたので、テクノのパーティに参加するのは初めてで多少の緊張はあったけど、アットホームな雰囲気で楽しかった。

続きのストーリーはこちら!

最愛のビッチな妻が死んだ 第43章

著者のKitahara Kyousukeさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。