最愛のビッチな妻が死んだ 第43章

前話: 最愛のビッチな妻が死んだ 第42章

交際53日目 4月10日
 
 本日、僕は朝から張り込みだった。寝ているあげはにそっと行ってきますのキスをして僕は家を出た。昼過ぎにあげはからラインが入った。

「夫よ。おはよう」
「外で立ち張り、2時間経過…おはよ」
「うわ、孤独。速達に起こされた。おはよ」
「なんか届いた?」
「なんか、速達」
「了解」
「あー、ごめん、お見送りもできずに…落ち込む」
「大丈夫だよ。あげはが熟睡してくれた方が安心だし
「何回も仕事に遅刻する夢で中途覚醒」
「速達って書類?荷物? 遅刻はダメよ」
 あげはから速達の画像が届いたが心当たりのないものだった。
「ありがと…なんだろう」
「わかんない、なんか怖いよね」
「帰って開けるわ」
「まぁそらそうでしょwwああ、開けないでねってこと?開けないよ」
「あ、いや内容証明とかかな~って思って」
「ま、帰って開けたらいいさ」
「か、年金や保険とかの督促状」
「それはなさそう」
「楽しみに取っとくわ」
「本人限定受取郵便は、身分証が必要って。眠い、怠い、寒い」
「おやすみ」
「もう寝ないよ。仕事の準備とか、しなきゃ。打ち合わせの準備とか。さすがに。んーと、電気が止まるって」
「ウチの?実家?」
「実家の」
「お金返したいが…」
「プレイ後じゃ振り込めないかなーー」
「手渡すしかないな」
「そういえばキョウスケ、昨日のタクシーでお金使い果たしてなかった? 貯金箱にちょっとはあったけど、渡すの忘れてた。ごめん」
「ケーキ代の千円がポケットにあったから、PASMOはチャージできた」
「そかそか。わ、トイレ青い」
「昨日からブルーだよ」
「ピンクだと血尿っぽくなるか」
「そだ、今日か明日の昼、ガクに会いに行こうって言ってたんだった。
「ガクさん、とは?」
「沖縄行くとホームステイしてる、元バー経営の、子供が4人いる、変なおじさん」
「思い出した」
「家族ぐるみで仲良しの。娘がかわいいの。飛鼓かな。ぴこ」
「イイね」
「東村高江に住んでいる。嫁の胎盤喰らう早めに出て大黒屋に指輪買い取ってもらえないか聞きに行こ。邪魔だし」
「よろしくお願いします」
「指輪は3.9g」
「じゃがいもは買えるな」
「¥15000になったら、プレイも合わせて実家の電気が止まらない」
「元カレの指輪も…w」
「太一にあげんの忘れてたww今日終電過ぎる?さんぜんごひゃくえんか。生きてけるな」
「過ぎたくはないです」
「呑んでも平気? 車出すなら、別に呑まなくても。打ち合わせだし、タダ酒だからどっちでも。タクシー乗るなら、迎えに行く。日曜日で携帯止まるしww」
「飲んで大丈夫だよ~」

 なぜか僕の写真が送られてきた。
「男前風だな」
「男前だよ」
 僕もあげはの写真を送った。
「かわいいよ」
14:44 909 [スタンプ]
「鼻曲がってんのなおしたい。コカインのせいだな」
「人差し指出してもよかったな」
「元彼から付き合って下さい、って時に渡された指輪だけど、それww」
「指輪っぽいのコレだけだから、便宜上」
「ま、シャネルに罪はないしね。長湯し過ぎて気持ち悪。事務所でメイクするとして、16:30には出るよ。夫よ、緊急事態だ、シルバーが錆び始めてるぞ」
「マジか~」

 昨日、近所のスーパーで2人はシルバーの指輪を拾っていた。売って生活費の足しにしようと目論んでいたところだった。
「手遅れです。最善は尽くします。行ってきます」
「ショック」
「君のは大体大丈夫だよ。ヒスのネックレス位かな」
「張り込みの相手、きませんでした、きませんでした」
「JAMしてますね」
「あげは渋谷?」
「いや、今家出た。シルバーと戦ってて。ダイエットブッチャーの服が好きみたい。かわいいなと思う服が大体ここのだな」
「僕も好きだ。僕も20時に飯田橋だ」
「あー、呑み? 時間が中途半端だと」
「どう過ごすかな…帰宅するか整体行くか」
「整体」
「あげチャージするか」
「あげ19:00-20:20で仕事よ。あと事務所でメイクしようと思ってスッピンだから無理!」
「紙袋をだな…」
「マリアやん」
「ティーバッグ忘れた。帰る」
「渋谷行けばよいの?」
「整体行けばいいやん」
「あげが避ける…」
「スッピンで逢えないワケではなくて、プレイにスッピンで行けんやん」
「たしかに…」
「20:00に飯田橋よね」
「いったん帰って寝るかな」
「車で行きたい」
「渋谷に?」
「そう。でも駐車料金が。ヒスローリングストーンズエロタグ、買った人」
「はい」
「部屋壊滅してます。渋谷て破格に駐車場高いよね。はー、出るか」
「たぶん渋谷は高いな」
「頑張るか。応援して!」
「がんばって」
「はい」
「あげは好きだよ」
「うん。あげも好きだよ。実は!」
「ありがとう。初めて気付いた」
「ヤル気が出ない病、完治」
「あげは…」
「はい」
「いつも本当にありがとね」
「え!どうしたの!」

 僕は毎日の感謝を伝えたつまりだったが、あげはは勘違いしたよいうだった。
「浮気でもした?」
「なんでだw」
「急な感謝は怪しめとananあたりが言ってる気がして」
「好きだから、出会ってくれてありがとう…と」
「あげもそう思ってるよ、いつも」
「僕も毎日思ってるから、たまには、いつも思ってると伝えとかないと」
「でも出逢ったのはアキオのおかげだから、御飯でも奢ろう。知ってるけど、言われると嬉しいね。あげも今日好きだと伝えようと思ってたので、嬉しい」
「ふっと思い立った時、伝えとかないと」
「心配性ね。アタシは死んだり居なくなったりしないわよ」
「僕も、ね」
「うん。好きよ。愛してる」
「愛してるよ」
「えへへーー。照れる!」
「だから、今日もありがと」
1「家が壊滅してるけど。それはごめん。帰ったら掃除する。毎日帰りたくなる家を目指しているんだけど、急には難しくて」
「あげはがいるところが、帰りたくなる家で、僕が帰る場所だから」
「でもホントにホントに汚いよ! あげのせいだけじゃないっぽかったけどwwあげちょっと、うわー、今日は二人でバリアン泊まりたいなと思ったほど、汚い」
「イイね」
「金曜のバリアンめっちゃ混むよ。23:00のステイの時間に行っとかないと。実家からシルバークリーナー持って来なきゃ。昨日はラスト迄付き合ってくれて有り難う」
「あげはがいるからな」
「トムとマサキが、紹介したかった友達だよ」
「あげはの好きな人には会いたいな」
「疑いなく好きでなんでも話せる友達は、たくさんはいないけど、みんなキョウスケのことが好きになるよ」
「ありがとう」
「どうしても逢って欲しい友達は、あとイタリアと沖縄かなww」
「帰国を待ちましょう」
「友達度数高い人達にはもう、紹介した」
「そうか。あ、コレは創価ではなく、普通のそうかね」
「濃度100%~80%なんて、そんな沢山いないな。面倒くさいしがらみがなくなったら、というかしがらみある時点で友達とは思わないが、まぁ、いつか共輔の友達にも会わせてね」
「僕も同じこと思ってて、そんなんでしがらみに感じる奴とは知り合いだから、別にいらない」
「じゃあ、あげの友達をあげと一緒に大事にしてね」
「もちろん」
「ありがとう。渋谷」
「中野からのバス」
「大黒屋!いちまんごせんえんにならないと、携帯と電気止まる」
「2万で買い取る呪詛を」
「あげが全額共輔に渡して、それを大地に渡す方がいいよね」
「そうなるかな」
「共輔にお金借りてるっぽいし。あげ、いっぱい」
「詳しくはわからんから、身体と現金で返してくれれば、いいよ」
「欲張り!」
「え?」
「おつり!」
「現金だけでも…」
「14350えん」
「え、高」
「さっき送ったやん」
「西友ありがとう」
「あげの携帯と大地の携帯と実家の電気、四万必要。プレイと合わせて三万か。一万持ってない?」
「ないです。いろいろまずいな」
「元彼のその指輪、売っちゃおうかな。15万くらいだったから、2万くらいにはなるかなーー。携帯は日曜日止まる。事務所着いた」
「服売るかな」
「体売るかな」
「とりあえず、生梅アメなめてる」
「おかえり。まず太一に相談してみる。昨日のあがりもあるはずだし」
「ゴメンね」
「なんか全部指輪が原因っぽいし!」
「そんなことはないよ」
「最近プレイ入らんから食費出してもらってるし!今後、年金と生保ってどうしたらいいのかなーー。
「そこらへんは今回乗り切ってから相談しよ」
「籍入れるの? どっちでもいいよって言いそう」
「入れたくなったら入れたい」
「キョウスケが?」
「お互いに」
「あげは、どっちかな。わかんないけど、6月6日に結婚したい。前言ってた様な、相手がしたがってて喜ばせたいからする、というスタンスは嫌いよ」
「わかってる」
「ごめんごめん、寝ていいよ。したらば、マゾをイジめてきまーす。80分だから、¥11000くらいだ、計算違い」
「用意できた~行ってくる」
「てらーー」
「やはり眠い」
「でしょうね。プレイ前に大事な話をして悶々をマゾにぶつけるのが好き。てかお金ある?平気?」
「まあ、次出すと言えば済む相手ではあるかな」
「創価。ヤバい位肌の調子いい」
「寝た?」
「おはよって送るまで寝た。昨日楽しかったからな。なんかツヤツヤ。あー、打ち合わせあるんだった。
頑張ろう。終電までには帰ります」
「がんばって」
「お疲れ様」
「なかなか。でも頑張った。もう実家電気止まってる。ホントは共輔の口座から振り込んで欲しかったけど、来てもらうか届けるかするわ。共輔からって言うからね。あげに預けてあって、遅くなってすいません的なの添えといて貰えると、顔が立つので、よろしければ。直接返せなくてすいません的なの。あげから返すの、多分嫌がるから。とりあえず打ち合わせ行ってくる」
「太一さんにLINEは送った。電話した方がいいかな?」
「呑んでるのにごめんね、ありがとう。変なとこうるさいパパだから。メールで平気、と思う。『女から返すとかダメっていう、男たるものみたいな』。ありがとう」
「了解」
 太一さんとは連絡が付き、無事、電気も点いたようだった。

 飲んでいる最中、打ち合わせに入ったはずのあげはからラインがきた。
「輩。ヤクザですわ」
「誰が?」
「今日の打ち合わせ相手」
「ヤクザなん?」
指はあるけど。朝までコースかも。。」
「マジか、迎え行く?」
「共輔は?終電?タク代出すからと、いっぱい人呼んで盛り上げ役してる。だって呑んでるっしょ?」
「あげ、かわいいから心配。渋谷行く?」
「大丈夫よ、キョウスケを愛してるからって言ってある」
「僕の方が愛してるよ。終わったら連絡する」
「愛してるケンリュウカイの話してる。。
「ハッタリかな~」
「いや、電話かかってきて一人出てったww」
「終わり。自宅待機かな? 渋谷行く?」
「寝ててーー。ダンナさんとこ流れる流れ。共通の知り合いで電撃の。小久保出るから、証拠写メおさえる? コカイン中毒なの、ダンナ」
 あげはの怪しい酒宴は夜を越えて続くようだった。

著者のKitahara Kyousukeさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。