節電率90%の世界へようこそ 1.4 エネルギー保存の法則

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 ここで言うエネルギー保存の法則というのは化学反応において反応前後のエネルギー総和は変化しないという、あの法則ではありません。

 私たちはこの世で命をいただいて以来、生命維持、生活、仕事、移動・・・・など多くの活動を通じてエネルギーを消費しています。これらのエネルギーはあたかも自分で調達しているように思いますが、地球という大きな自然生命体の一部を利用させてもらっている、借りているに他なりません。

 もちろん、科学技術の発達で今までは自然に失われていたエネルギーやエネルギーとしては取り出せなかったエネルギーを私たち人間が利用できるような形にすることができるようになりました。(太陽光発電や風力発電技術など)

 エネルギーを使わせてもらっている、借りているという立場に立てば、できることならエネルギーを大切に使い、できることならばエネルギーを創造できる技術も確立したいと思います。すなわち、使うエネルギーと作るエネルギーをイコール(保存)にすることができれば私たちの子孫にもエネルギーの恩恵を受けてもらえるという意味のエネルギー保存の法則です。

 とはいってもエネルギーを個人レベルで創造することは決して容易ではありません。資金が必要ですし、誰でもできるというものでもありません。しかし、省資源・省エネルギーはできるところから誰でもできます。

ここで省エネルギーについて少し見てみます。

省資源/省エネルギー(conservation of resources and energy)とは産業・生活・社会活動全般における資源・エネルギーの効率利用をはかることをいいます。このような課題は、1973(昭和48)年10月に勃発した第4次中東戦争が原因で起こった1974年の第一次石油危機以降わが国をはじめとする先進工業諸国で、きわめて現実的な政策課題として取り上げられるようになりました。そして1979年の第二次石油危機でさらに政策は強化されました。省資源・省エネルギー化を進める方策としては、(1)各産業における資源・エネルギー消費原単位の低下(省資源・省エネルギー技術の開発)、(2)製品利用の面での省資源・省エネルギー(耐用年数の延長・節電型テレビの普及等)、(3)資源の再利用の促進、(4)エネルギー生産性の高い高付加価値産業の発展などが考えられます。1980年代に入って、エネルギー・石油需給が緩和基調となり、とくに1986年以降価格も大幅に下がったため省エネルギーは鈍化し、省エネルギーの重要さが忘れられがちになってきたが、長期的にも緩和基調が予想され、経済的インセンティブは小さいのですが、地球規模の環境問題で、地球温暖化を防ぐための化石燃料の使用を制限する動きがあり、環境負荷を小さくするためにも、省エネルギーが強調されるようになりました。すでに大幅に進んだ産業用はともかく、増加を続けている民生用、輸送用の省エネが強く叫ばれるようになりました。

1993(平成5)年には、資源エネルギー庁は、第二次石油危機後の1979(昭和54)年に施行されたエネルギー使用合理化法(省エネ法)を改正し、オフィス・ビルにも工場なみの省エネ対策の実施を義務づける方針を決めました。さらに省エネ徹底のため省エネ義務を怠った企業には罰金を科します。その省エネ法改正の骨子は、(1)一定量以上のエネルギーを消費する工場(指定工場)に、使用状況報告を義務づける、(2)非協力的な企業に対しては勧告や改善命令を出す。この命令に従わない企業には罰則適用を積極的に行っていく。さらに省エネ・再資源化事業促進法が1993年に成立しました。1994年1月、普及率が高く、省エネ効果が大きい蛍光灯、テレビ、複写機による消費電力削減を最高それぞれ7%、25%、3%(平均)2000年度までに達成することが閣議で決まりました。最近、電力需要の省エネ促進(DSM=デマンド・サイド・マネジメント)のための工夫が、コストの高い電源開発のスローダウンに対応するものとして注目されています。輸送用エネルギー需要の省エネルギーについてはTDM(輸送需要管理)がアメリカを中心に提唱されています。

 また、省エネルギーの有効な方法のひとつとして、未利用エネルギー(disutilized energy)の活用がエネルギー政策として強調されています。都市生活から出てくる排熱や、大気との温度差を利用した河川水、下水処理などの熱といった、今まで利用されなかったエネルギーを有効に活用することです。社会システムの中に省エネルギーの観点を取り込んだ「予防的な省エネ」で、炭酸ガス、窒素酸化物などの削減もでき、環境保全の促進にも役立ちます。資源エネルギー庁では「エネルギーインフラ整備室」を発足させ、未利用エネルギー活用システムの導入方策の検討を開始しました。現在、大気中などへ放出している未利用熱エネルギーを再生、利用することで、既存の冷暖房システムを使う場合に比べ窒素酸化物を60‐80%削減できるほか、2010年までの国内の炭酸ガス増加量を約10%減少させることができ、地球環境の保全を促進する効果があります。排熱活用システムの事業化に向けた2010年までのインフラ整備には総額24兆円の多大な投資が必要になります。


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