節電率90%の世界へようこそ 1.5 工場より家庭

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 エネルギーの消費そのものを減らす省エネルギーが最も地球に優しいエネルギーという考えを再認識したいものです。

環境汚染や地球温暖化の原因は企業にある、と企業をスケープゴートにすることはよくあります。省エネルギーや環境意識が乏しく高度成長を目指していた時代、1960年代の公害まきちらし時代には企業のエネルギー消費量や環境汚染度の総量が個人レベルよりもはるかに大きかったのです。家庭では洗剤使用量、灯油などの暖房用石油エネルギー使用量、冷房用の電気使用量、食物の大量購入と冷蔵庫保存量などがまだまだ小さかったのです。これらの理由のために企業の責任は相対的かつ絶対的に大きかったのです。その残像がまだ脳裏に焼きついていますが、今日では法的な規制や企業倫理の確立などにより、環境汚染や地球温暖化の責任の大半は個人、家庭にあります。

 企業はこれまでに多大の投資を行いながら省エネルギーや環境汚染対策を重ねてきていますが、家庭での取り組みは極めて不十分です。理由を政治の責任にするのは簡単です。確かに所得に見合った豊かさがない日本の現状で各家庭で省エネルギーや環境汚染対策の完全実施を望むのは無理としても、やはり個人の意識を更に高めて取り組むことが全体の省エネルギーや環境汚染対策効果を上げる方法です。

 ここで地球温暖化と長期エネルギー需給(global warming and long term energy supply and demand)について考えてみたいと思います。

地球温暖化問題は、1990年代に入って急速に国際的な取り組みが進行しました。1992(平成4)年6月には地球サミットで地球温暖化ガスの排出抑制について条約案がまとまり、気候変動枠組み条約として1994年3月に発効しました。同年9月に先進各国は事務局へ対応策を通報し、1995年3月第一回条約会議がベルリンで開かれました。第三回締結国会議が1997年12月京都で開かれ、先進国、旧ソ連諸国、東欧諸国は2010年(2008‐2012年の平均)に1990年比温室効果ガス5.2%削減が京都議定書として決まりました。日本は6%の削減をすることが決まりましたが、1998年6月に通産大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会、電気事業審議会が2010年のエネルギーの需要見通しを発表しました。炭酸ガスについては1990年水準あるいは2%削減することを政策目標として、実質経済成長率2%余を維持しながら対応するためには、省エネルギー促進、原子力推進、再生可能エネルギー導入の加速が必要であるとしています。そのためには、抜本的な社会・経済システム、交通・流通システム、ライフスタイルの変更が必要となるだろうということです。

抜本的変更とはお茶お濁すような改善ではありません。ますます増大する家庭でのエネルギー需要に対しては再生可能エネルギーの導入と徹底した省エネルギーが各家庭で必要となります。


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