ボーダーの私が『普通』になるまでの物語③

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18歳 精神科へ入院】

私の状態をみかねた母親は病院へ相談に行き、私は入院することになった。


入院しても毎日痩せることに囚われ続けた。

院内をぐるぐる歩き回る。

歩いていないと不安になる。


「摂取した分を消費しなければ」

 

ウォークマンを片手にぐるぐると同じ場所をひたすら歩き回る。

同じように歩いている人がちらほら。

 

今思えば不思議な光景だ・・・

 

この頃はよくスピッツのアルバムを聞いていた。


スピッツの曲を聞くと今でもあの頃の感覚がよみがえってくる。

 


私はこの入院でゆみという友達ができた。

ゆみは大学生。

テニスサークルに入っていて、私よりも2歳上のきれいなお姉さんだ。


ゆみも私と同じ「摂食障害」で入院していた。

見た目が可愛くてスタイルも良い。

着ている服もおしゃれ。

 

まったく「病気」には見えない。

 

それが摂食障害という病気のややこしいとこでもある。

 

病院は暇だ。

朝起きて、ごはん食べて、歩いて、ごはん食べて、お風呂入って、寝る。

そんなことの繰り返し。


次第に過食したい衝動にかられ、病院のごはんを全て食べては吐く。

うまく吐けないと不安と恐怖が私を襲う。

イライラする。

 

自由に食べられないことがストレス。


結局そんな生活に耐えられず、退院。

 


家に帰るとまた過食嘔吐の繰り返し。

自分で自分をコントロールできない。

自分をコントロールできないことにストレスがたまる。

 

食べられない環境にいたい。


入院したいとわがままをいい、入院する。

しばらくはその繰り返しだった。

 


入院しても治らない。家にいても治らない。

どうすればばここから抜け出せるのか。

自分が何をしたんだろう。

何か悪いことをしたのか。

何で自分なんだろう。

何で自分かこんな目に合わないといけないんだろう。


今までは努力すれば何でも手に入ると思っていた。

でもその頃の自分は、もう自分じゃどうすることもできなかった。​

 

 

1821歳まではずっと入退院の繰り返し。

 

そんな何度目かの入院の時、私は何かをきっかけに保護室に入れられた。

 

明確な原因は覚えていない。

おそらく感情がコントロールできず暴れたのだろう・・・

 

そこは鍵のかかった冷たい部屋。

何もなくて誰もいない。

四角い箱。

 

出たくて叫ぶ。

ドアをたたく。


どうすることもできないことにイライラしする。


自分の眼鏡を踏みつけ、自分を切りつける。

自分を傷つけると落ち着く。

どうすることもできないこの感情がスーッとなくなる気がした。

喉に詰まった異物が無くなる気がした。


大柄の男の看護師さんが入ってきて、羽交い絞めにされる。

その人にかかれば私なんてびくともしない・・・。

無力だった。


顔も名前も覚えていない大柄の看護師さん。

本当は優しい人だったってことだけは何となく覚えている。

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