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追憶~ロボットと呼ばれた3歳児~(3/4)

Image by Olia Gozha

「本当ですか?!」

診察室で珍しく母が大きな声を出した。


なにやら僕にとっても良い話らしい。


順調にいけば1か月後には

この器具ともさようならができる。


そう告げられた後は

いつもの病室が普段より明るく見えた。


嬉しいお知らせから家に戻ると

無性にお利口さんでいたくなった。


いつもより大きな声でいただきますと言い

いつもよりたくさんお手伝いもした。


やっと治る。


終わりが見えただけで

全てが晴れやかに感じられた。


普段は不安に襲われる病院の日も

この時ばかりは待ち遠しかった。


さて、お待ちかねの再診の日。


その日は空が雲に覆われ

すっきりしない空だった。


病室でいつものように

骨の写真を見た大人たちの顔は険しかった。


居直った先生は

僕を包むように言った。


「もうちょっとの辛抱だからね」


”ウソつき!!”


感情が爆発した。


努めて良い子にした

この1カ月は何だったんだ!


悔しくて、悲しくて

気づくと僕は病室を飛び出していた。


もちろん右足の相棒と一緒に。


病室から駆け出して、

僕は広い駐車場の中で

乗りなれた車の前まで逃げてきていた。


少し経って、母が迎えに来た。


「いままで頑張ってきたじゃない」

「あと少しだけ頑張ろう」


母の顔は、僕がしたい表情そのものだった。


うん、あと少しだけ頑張ろう。

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Image by Jukka Aalho

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