節電率90%の世界へようこそ 1.5.3 行動基準 個人、企業、国

前話: 節電率90%の世界へようこそ 1.5.2 1960年代の公害

 公害は経済の国際化、グローバル化により一国の問題、地域だけの問題ではなくなってきています。

公害企業は、国内において工場立地が困難になると、海外に工場立地を企てます。その結果、海外においても日本と同じか、それ以上の公害を発生させているのです。たとえば旭硝子は過去にタイのチャオプラヤー川に水銀をタレ流しましたし、他の企業はインドネシアのカリマンタンでは木材の乱伐によりオランウータンが全滅する危機まで起こしています。パルプ製紙会社は東南アジアにあるラグーンのマングローブ材の乱伐を行い、鉱山会社は、北米、アフリカ等に進出して公害を出しています。そのうえ、川崎製鉄のミンダナオ島焼結工場建設、ミクロネシアのパラオCTS計画等、公害発生のとくに激しい資源の一次加工を海外で行う大規模プロジェクトが続出し、各地で問題化しています。三菱化成が出資しているマレーシアの鉱石精錬会社のエーシアン・レア・アース(ARE)は放射能を含む廃棄物の杜撰な投棄で、周辺住民に健康被害が出ていましたが、1992年7月、現地のイポー高等裁判所は操業停止命令を出しました。

大企業による公害、あるいは公害輸出はメディアでも大きく報じられ、罰則を適用されたり、操業停止処分などの対象になります。中小企業の場合は一社あたりの公害量が少ないために、あるいは規制値以下だという理由で見過ごされている例が多々あるはずです。家庭や小さな食堂、レストランからの排水も量的に少ないので規制対象になっていませんが合計すればその数量は無視できません。ここにも行動基準を自己規制として適用する必要があります。

 公害問題はこのくらいにして、本論の省エネルギーに戻りますが。もしアメリカが 「共存の道を探るアメリカ」という行動基準をとれば宮沢弘文氏が言及されているように地球温暖化防止、省エネルギーの効果は大幅にアップするでしょう。

 前述しましたが、2002年11月にニューデリーで「地球環境に優しいエネルギーと生産性」ワークショップが開催されました。そこでアメリカ環境保護局からの講師たちは省エネルギー基準として「スターエネルギープログラム」があり、これが唯一、最善の方法であるような紹介をしました。私は省エネルギーへの取り組みは「以前よりはベター、他の方法よりベター」という考えでなく、無駄なエネルギーをゼロにすべきであると、節電虫(益虫)の技術紹介資料を渡して関係者にも伝達してくれるように依頼しました。しかし彼らからはアメリカ国内消費者の省エネルギー意識の低さを導入困難の理由として好意的な返事はもらえませんでした。帰国後も私は追加資料をメール送付しましたがその返事さえも届いていません。

 企業の行動基準は法律に従うことをベースに準法規的なISO基準に従うこと、政治と癒着しないこと、借金経営をしないこと、閉鎖的企業村を作らないこと、などがあります。従業員には外との接触、地域社会との交流と自立を勧めること、などを求めたいのです。偉そうなことを言うな、とお叱りを受けるかもしれませんので、その前に私個人の行動基準というか、仕事、私生活、人生での前提条件としていることを述べます。

① 世の中は%の世界;成功、結果、反応、リターンなどは1%またはそれ以下の確率だと思うこと。うまくゆくことの方がずっと少ないのは当然です。少ない確率なのだから「しつこく、まじめに、ゆっくりと、お金をかけずに」数をこなさなきゃ生活できません。

   バランス;自然界すべての事象はバランスの上に成り立っている。

男女比、収入と支出、・・・・・。たとえ人為的であってもこの法則に収束する。

ある国の繁栄、幸せは他国の貧窮と不幸の上に成り立っている。できることなら他人、他国からの搾取をせずに、必要以上の利益、生活水準を追い求めずに生きたいものです。

  基礎教育;基礎教育なしに国、個人、企業などの発展、成功はない。高校・大学以上の高等教育は自らが苦労、工夫して会得するもので、与えられたものはあまり機能しないし身に付かない。現在の学力低下、就職難、リストラ数の増大、失業率の増大は教育を受けることのできる環境への感謝不足と個人の甘えが主な原因です。

④ 健康;説明の必要なし。タバコ、暴飲暴食、規律節制のない生活は失敗のもと。自暴自棄的に健康を害して困るのは本人、家族のみならず現在の医療保険制度では社会の大きな負担にもなります。
  以下のロゴは国内で最小の企業、有限会社ケイ・イー・シーとして省エネ大賞を受賞したことを示しています。

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