発見や発明 2.3.1 減少でなく、ゼロに

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 改善という言葉をあえて英語に直せば a betterment であったり a change for the better です。その訳語は決してthe best であったり a change for the best ではありません。減少とは少なくなることです。必ずしもゼロになることだけを意味してはいません。

待機電力消費を改善するということはほとんどの電気技術者であれば待機電力消費の減少をイメージします。一足飛びにそのゼロ化をイメージする人は少ないと思います。

 ファクシミリ待機消費電力消費をゼロにするという考えは、“常識”ある電気技術者、開発者であればゼロ化によるダメージやマイナス現象がまず頭に浮かぶはずです。よく言われる減点主義からの発想になるわけです。その結果として常識的な解決方法、人まね的な解決法である“旧モデル比○○%減”という形に落ち着き、ベストな状態であるゼロ化には時間がかかるるわけです。

 ファクシミリ待機消費電力消費のゼロ化のために電源を元からオフするというような乱暴なアイデア、人まねではない考えは企業の中では周囲からも受け入れてもらい難いでしょうし、実践もできないでしょう。

 一方で、生産工場での廃棄物や毒物のゼロエミッションという概念はすでに多くの企業で採用されています。このゼロエミッションという状態に到達する前には廃棄物や毒物を以前よりも減少させるという手法がとられたはずです。その減少努力の積み重ねと廃棄物や毒物が絶対的に“悪いもの”であるという考えがゼロエミッションという廃棄物や毒物排出のゼロ化につながったものです。

 待機消費電力消費も“悪いこと”という概念があればゼロ化へのスピードも速かったかもしれませんが、利便性という得体の知れない魔物の呪縛から“必要悪”として社会で大多数の人々から認知されています。そのために、誰も待機消費電力消費のゼロ化を考えなかったのでしょう。

 しかし、私は待機電力消費の多くは“必要悪”ではなく“悪”そのものだと考えています。この“悪”をゼロにすることで省エネルギー、地球環境保全、地球温暖化防止に役立つとすれば、賛同者もいつかは現れてくるだろうと1994年の節電虫(益虫)開発以来8年間という長い間ひそかにかにその賛同者の出現に期待してきました。この8年間の間には雑誌、新聞、ラジオ、テレビなどのマスメディアで取り上げ、紹介して下さった多くの賛同者には心底感謝しています。その結果として生産と販売という真の賛同者としてようやくその期待が現実となったのが2002年度のNTT-AT社によるNTT版節電虫(益虫)の商品化開始と2003年度の販売開始でした。


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