発見や発明 2.3 人まねをしない

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 人まねというか、追いつき追い越せ主義というか、そびえたつ目標に向かって突き進むことが戦後日本の大きな躍進の原動力になったことは事実ですし、評価すればよいと思います。しかし、時代は常に変わり同じ考えや手法が効果を発揮するとは限りません。もし変更が必要なら柔軟に変更すればよいと思います。変更や改革はためらう必要はありません。まず、やってみればいいのです。変えないほうが楽であるために体制側、既得権保有者、年配者から反対は必ず出てきますが、これから長く生きてゆかなければいけない若い人たちがその変革の主導権を取らなければいけません。

これからは白紙状態から自ら目標を、自らその方向性と高さを設定しなければなりません。他にまねする目標はないのです。そのためには教育、人材育成がその基本です。

人や社会、国をダメにすることは簡単です。人であれば徹底的に腐せばよい。社会や国であれば情報操作したり、情報遮断したり、画一で独裁的な思想教育をすれば国は崩壊の道をたどることは歴史や現在の北朝鮮が証明しています。

その反対に子供の育成、企業人の育成など、また愛玩動物でもそうですが、節度をもって、甘やかさず褒めて育てるという方法が有効であることは良く知られています。

 金太郎飴でなく、横並びでなく、他人の行動様式を常に気にするのではなく自分自身の考えを持ち、それを発表し、討論し、実践できる資質を作り上げる教育が必要です。これまでの行き過ぎた知識詰め込み主義、学歴至上主義、学校ブランド主義、大企業主義、技術・研究業務の劣等・マネジメント優等主義などを反省することが必要です。個人の持つアイデアを否定しない教育、人まねをしない個性豊かな色々な価値を認める教育をお互いの協調性とのバランスの上で実施することが必要です。この教育が新しい社会の形成につながって行くと思います。

一方、バブル期を経て依然として再起の出口が見えず、雇用情勢も戦後最低状態が長く続きました。リストラや海外進出という名の企業の身勝手な生き残り策、グローバル化という得体の知れない概念下での開発途上国からの搾取の結果がデフレになりました。依然として廃業率が起業率を上回る縮小傾向が続いています。

起業のための施策、補助金制度、利子補給制度など今ほど充実している時は過去にはないでしょう。多くの施策や制度は官僚役人が机上で考えた制度です。彼らが自己満足的に作ったものだから私たちが実際に利用するときには運用面での煩雑さや不満がたくさん出てきます。(会計年度末支給、1/2・2/3支給、膨大な資料作成など)

支援や助成制度がこれほど充実しても、日本で起業率が低い本当の理由は何でしょうか。 私は“甘やかしてダメにする”という現在の支援、助成方法の根本に問題があると思います。

立ち上がる時に支援、助成を受けた人や企業が果たして真に芯の強い起業につながるでしょうか。。冷たいようですが、最初の数歩は真の意味で起業者自身が自力のみで立ち上がり、辛さを経験することが必要なのではないでしょうか。誰も保障なしでお金を一円たりとも他人には貸しません。成功者の誰も最初から設備の整った事務所や工場から出発してはいないでしょう。起業後の成長の過程には立ち上がり時の苦労、創意工夫、活力が大きな財産や自信になります。

成長するためにどうしても必要な自力立ち上がり時の辛い経験をさせないような支援、助成に助けられた起業で後の自力歩行ができるはずはありません。失敗に終わる確率が高くなり、そして無駄な税金使用に終わる例が身の回りにも多くあります。

不景気、デフレ、銀行による貸し渋り、貸しはがしによる中小企業の金融危機を救うために大蔵省(現在の財務省)が信用調査もろくにしないで大判振る舞いをしたことがありました。これは甘やかしてダメにしてそのツケを国民に回したという無策を天下に明らかにしただけです。しかし、誰かがこの悪政の責任を取ったということは聞きません。

ダメな企業は舞台から去れば良いと思います。代わりに元気な企業が出てくるものです。下手な支援は元気な企業の芽さえ摘み取っていることになります。これは債権放棄、借金棒引き、公的資金注入された大手企業が不当に行き延びて仕事を不当な安値で落札し、まじめで健全な企業を潰しにかかっているのと同じストーリーです。人の養育と同じで、甘やかすとことは簡単で一時的な受けはいいかもしれないが、長い目で見ればダメにしているのと同じで何の解決策にもならないということです。

より確実で、力強い起業を望むなら、最初は何の支援、助成も受けずに自力歩行を始める方が起業者自身のためです。そしてしばらく時間をおいて客観的に評価できる内容の仕事、あるいは表彰などを受けた事業、アイデアなどに対して“褒める”ために、そして更なる新たな企業を促すために用意した支援、助成を実施する方が、起業成功の確率は上がるし、税金を無駄に使わなくてすみます。

いつまでもいつまでも同じ失敗を繰り返さず、前例主義と机上主義にこだわる支援、助成を企画、立案、実施する担当官庁は猛烈に反省して方向転換してほしいものです。


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