一人旅

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そこから自分を追い求めていけばいい
その方が僕にはあったやり方だと
そんな風に僕は思った

でもとはいえ実行できるかどうかはわからない
案外難しいことだと気付いた
言い放っておいてなさけないことだが

一方で以前からずっとモットーとして掲げていて
大学生になっても 大人になっても 
ずっと持ち続けていこうと固く思っていることがある

それは誰かの苦しみを拾うこと
何もないように見えたり 反対に過激化して素直にそれとは受け取れないようなものでも
僕は拾いたいと思う

僕は所謂創作というものを始めた時から
初めからずっとこのモットーを言葉に置き換え発信していた
今改めて確認できた

さて電車を降りて
北鎌倉駅に降りた
この場所は思い出の土地だ

かつて最も精神が荒れていたときに 
好んで何度か訪れた場所
また彼女と初めて出会った場所だ
お土産はあとで考えよう

僕は秀でたポエットではないから
気の利いた情景また叙情描写はできないが
そこには確かな感慨深さがあった
都会のごみごみとした環境とは対になる街だ
あてもなくお決まりのコースを歩いていく

夜空に一番星が出ている
あれは何の星なんだろう
ぼーと星を見つめながら
あの星は今の僕みたいだなと思った

紺色の空に一人光を放つ星
一人途方もなく歩く僕みたいだ
あの星は 周りに星の友達がいなくて寂しくないのだろうか
僕は 今一人でも寂しくない
というか一人の方が楽でいい
たまにはこんな時間があっていい

一人で歩を進めていると
なんで生きてるのかなって
そんな問いが何度も頭をよぎる

僕は 個人的には何となく生きていていいと思っている
ぶらぶら何となく生きていたら
いつか生きていた意味がわかるときがくるかもしれない
そう思うことにしている
そうでも思わないと辛いから

でもこれは自ら作り出した言葉だから
きっとどこかでそう実感している節が少しはあるんだと思う
現に 前述にもそんなようなことを匂わせる内容があったかと思う

伝えたいことって何だろうという問いを
紐解くために初めは遠出しようと思ったが
だんだん僕の頭の中は
今僕が自分に求める処方箋って一体なんだろう
そんな問いに変わっていった

学校に行けない自分はとうに諦めている
今はオルタナティブスクールを見つけ
大学受験に挑むだけのきちんとした学力を身に着けている
これは他でも幾度綴っているが
学校は一つの手段でしかないと思う

今の僕が患っているのは
将来働けるかという悩みと
人格としての自分そのものについての悩みだ

後者についてだが 
自分のことが受け入れられないなら
自分を受け入れるか
周りに受け入れてもらっていることを確認するか
自分の求める自分に変わるしかない

鎌倉の海岸まで来た
誰もいない砂浜に一人腰を下ろすと
さっきの一番星とまた目があった

波の引いたり押し寄せたりする単調な音が
やけに鼓膜に響く
さっぱりとしていて心地よい

この波が 僕の心の中まで洗ってくれればいいのに
そんなことを感じた

身をねじりふと後ろに視界をずらすと
夜空にまん丸の満月が出ていた
今の僕の心とは対照的だなと思った

僕の心は今 ある考えで揺れていた
今の自分を続けるか
夜空に瞬くあの孤独な一番星のようになるか

自分を変えるということは
ある程度納得できるまでの自分になるということは
またいつかの僕のように
自分をあれこれ制限しなければならない

一人で息を殺して
見た目にも今以上にこだわって
人といるときは 自分を頑張って殺さないといけない
それは言い方を変えれば「繕う」「逃げる」ということにもなる

反対に理想の自分に立ち向かって
変にかっこよく見せたりおもしろいことを言おうとするよりはいいかもしれない

今の人との関係がうまくいかない自分が嫌で
いっそそこから逃げようというのも
立派な選択肢だと僕は思う

それに抑える必要のある自分というのもいるだろう
それが習慣化されれば 後で生き安くなるかもしれない

さて どうしようか


そして僕は気付いた
もともと僕には自分が嫌いで
自分についてぐるぐる考えるところはあったが
ここまで僕が自分について突き詰めて考え出したのは
僕の周りにいる僕を批判してくる人の存在が原因だと

そんなに突き詰めなくてもいい
そのままを受け入れてくれる人だって僕の周りには何人かいるんだ

いつか生きてれば自分を受け入れられる瞬間がくるかもしれない
肩の力を抜いて行こう

砂浜をたつとき
僕はそんなことを思った

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