将棋 プロ挫折後16

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栃木県、団体全国予選決勝戦


相手は宇高


杉本の相手は部長の振り飛車党


北里の相手は副部長の居飛車党


そして俺はエース対決


やはり俺の予感は正しかった。


相手はあの右四間使いだった。


この上ない最高の喜び。


最後の最後に残る一人、屈辱の負けを味わった相手と戦えるこの瞬間に喜びを感じた。


なぜって


勝って終わりにしてみせるからだ。


約束したんだ。


どんな相手でも絶対に勝つ。


そしてついに始まった。



お願いします。


北里と杉本は最後相居飛車と、相振りになった。


俺はゆっくり深呼吸を何度も行ってから、ゆっくり一手目を指した。


こいつとの戦いも決めていた。

特殊な戦法は使わず、ガチンコの実力対決


右四間 VS ノーマル四間飛車


振り飛車党のトップとしての振り飛車らしい戦い方で勝つ。


この時は二人に気を配る余裕はなかった。


俺は俺の戦いに全力を尽くした。


島田ときとは少し違い、俺は振った飛車の左は軽く捌く構えをして、銀はあげなかった。普通の美濃囲いのまま、相手は急戦できた。


島田戦の経験も踏まえ、ハナからカウンター狙いの玉頭戦は初めから考えていた。

がしかし意外にも相手の攻めは厳しかった。


俺の飛車は上手く捌けず働きを失い、相手も薄いが、俺の囲いは粉砕された。



クソ

最後の最後だってのに、ここまでか。


・・・負けてたまるか。


考えるのをやめた。


目を閉じて一度思考を停止させ、ゆっくり目を開き一度外の景色を見てから、盤面を見た。


「助かっていないように見えて、助かっている。」


これは一番プロの中で尊敬している大山先生の名言だ。

自分の玉を見たとき、一見誰でも受けて一旦手を戻すと考えそうな局面。


受けたら負ける。


受けずに、相手に駒を渡さない攻めをしなければ負ける。


逆に言えば、受けなければ詰まない!

そんな局面であることに気づいた。


その一瞬見えた、誰もが見えていなかった25飛。玉頭を攻めていた飛車を引いた。誰もがこの時悪手に見えていたがこの手が決めてになった。


相手は駒が入らないが故に寄せきれず、成銀をにじり寄ってきた。


そして起死回生の85飛。王手龍取りが決まった。飛車を動かしての角で抜き王手が決まった。

そうこの攻めがあったから、相手は他の手を考えなければいけなかった。つまり無理攻めだった。


「助かっていないように見えて、助かっている。」


のであった。


当然王手は無視できない、避ける。

そして相手の龍をとった瞬間。

完全に相手の攻めが切れた。


勝負が決まったのだ。


龍を取ったこともあり、相手を攻めるのに持ち駒は十分。だがこの寄せが肝心。下手に駒を与えればこちらが詰まされてしまう。

渡しても大丈夫な駒を考えつつ、必死までの手順を考えた。


よし、これで決まりだ!


読み切った。


そこから10数ての後相手玉必死。

自陣、王手がかからない。


「負けました。」


とうとう勝った。


これで雪辱は成した。

俺は今大会全焼し、約束を守った。


俺の役目は終わった。。。



あとは二人の勝負。


しかし


残酷なことに、局面は二人とも大劣勢だった。


間も無くして、北里投了。


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