沖縄県の学力って誤解されているような気がする(7)

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7、県外大学の指定校推薦を選択する背景

 

 沖縄県の大学進学率は、現在40%を超えました。

 県内の新聞記事の論調は、全国平均の55%に比べると低いことが課題という感じです。

 ただし、今後、大学進学率が上昇し続けても、沖縄県内に大学の新設、定員増はありません。

 となると、沖縄県外への進学となります。こうした傾向が、10年続いているんですね。

 

ここに、本州の大学から「指定校推薦枠」がやってきます。その多くは、生徒募集に苦しむ大学です。

そういう大学が、指定校推薦枠を過去に受験者がいなかった高校にも与えて、受験者数を増やそうとします。では、どんな高校に枠を与えるかというと、それは、大学進学は希望するが、学力的にはそれを満たしきれていない生徒が多い高校です(俗に言う、中堅進学校ですね)。

 

そして、一般入試よりも、AO入試、推薦入試が一番安心・確実という価値観の受験生(とその保護者)が、ここに流れていきます。


今時の高校生は、「偏差値による大学ランキング」をよく知らず、名前を聞いたことがある大学(有名校)、先輩や知り合いが進んだ大学を希望することが多いです。特に後者の傾向が強いです。

そういう大学の学部学科は、「医療・看護」「公務員・教員」「幼児教育」という、「地方における安定した職業の三本柱」なのです。これに「つぶしが効く」と言われる「経済・経営、法律」が続きます。

そんなわけで、8月から9月にかけて、高校生は指定校推薦に流れていきます。たとえそれの大学が「ボーダーフリー」と言われている大学であってもです。なぜなら、偏差値的な価値観のない大学選びをしますから、ボーダーフリーという言葉も知らないのです。

もちろん、偏差値だけで大学の価値を決めることの愚は承知しています。また指定校枠を出す大学には、素晴らしい教育をしている大学があることも承知です。

指定校推薦に流れる高校生に向上心がないのか、意図的に「沖縄枠」で生徒募集をする大学がいけないのか・・・。

肝心なのは、指定校推薦で進学する価値のある高校生も、指定校推薦で進学する価値のある大学もあることです。その一方で、受験生の逃避的側面と大学の営業的な側面とが見え隠れするのも事実です。

そして、後者の利益の一致が、学習・受験・大学進学について、多数派になっているという事実が、沖縄に対するイメージを作っている部分もあるかもしれません。

ただそれは、全国の中堅進学校によくある風景だとも言えますが…。

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