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節電虫の誕生 4.1.1 午前4時からの2時間 (1)

Image by Olia Gozha

6月29日の朝、東の空が明るくなり始めた午前4時頃、私は梅雨時期の特有の寝苦しさも手伝ってか、いつもより早く私は目をさましました。横になったままで意識がハッキリとしない状態でしたが、数日前にNTT尾道支店から無料でいただいた外付けベルのことがふと思い浮かびました。

この外付けベルはNTTではすでに回収して廃棄処分対象となっていた型式のものでした。私が購入したい、と窓口でお願いした時、在庫がない、と言われたものでした。しかし、数時間後に職員の方が一個を所内で見つけて下さり、丁寧に電話連絡までいただき、しかも無料で譲っていただいたものでした。

以前から私自身に課していた技術的なテーマであった「ファックス機の無駄な待機消費電力消費つぶし」を、この外付けベルを工夫することにより、具現化しようとしていたのです。

蒸し暑い梅雨の時期にも事務所のファックスが無駄な待機消費電力を使って四六時中部屋を暖めていることにも我慢がなりませんでした。(それだけ、当時のファックスは待機消費電力が大きかったのです。)

というのも、私の基本的な考えは、ファックスは送信と受信の時だけ電気を使ってその目的である送受信できればよく、送受信時以外の電力消費は無駄以外の何物でもない、ということなのです。

そこで、一日も早くこの待機電力消費による無駄なエネルギー消費と不必要な暖房効果を何とかしないといけない気持ちになり、あたふたと着替えて家を後にしました。朝の空気はこの時期にしては気持ち良く、事務所まで10分ほどかけて国道184号線沿いの歩道を急ぎました。

事務所に着くとすぐに、NTTで廃棄されようとしていたその外付けベルを手にして、先ず外箱をドライバーではずしました。そして、通常は電話用に使用している電話回線にこのむき出しになった外付けベルを接続しました。ファックスを常時接続しているもう一つの回線から外付けベルを接続した電話回線に向かって電話をかけて、外付けベルの動作状態を観察することから作業を始めました。 

時刻は午前4時過ぎですから事務所外部のお客さんから電話が入ってくることはまずありません。何回も何回も同じように電話番号を回してベルがなる時の動作状態を観察しました。そして次に、用意した細い銅線で外付けベルを構成している部品の間を接続したり、あるいは元に戻したりしながら、ベルの鳴り方などの動作変化を注意深く更に30分ほど観察しました。

この外付けベル動作観察実験の目的は、

①話がかかってきた時に「電源をオン」できるような物理的な動きを見つけること、

②逆に電話をかける時にも同じように「電源をオン」できるような物理的な動きを見つけること、

③この物理的な動きが電話中は「同じオン状態でキープ」される条件や回路へのヒントを見い出す、

ことでした。

何十回となく電話をしたり、切ったりしながら実験の最終目的である物理的な動きを捕らえたのが午前5時頃でした。実験を始めてから約一時間が経過していました。外はすっかり明るくなっていました。

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