今の時期だからこそ、、、番外編

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 最初に今回の新型コロナウィルス 騒動を記録に残そうと思った時に、海外に在住している日本人の視線でいろいろなことをできるだけ記録していこうと思い書き始めました。

 だから、ちょっと脱線した内容になりますが、この期間中に私の身の回りに起こったこととして番外編として記録を残します。

 私には高齢になる両親がいます。(まぁ、私自身が五十路の高齢者なので両親がさらに高齢なのは当たり前なのですが、、、。)
 その父の方が2年ほど前(2018年ごろ)から症状がおかしかったのですが、昨年認知症(アルツハイマー型認知症)との診断を受けました。
 ただ、なんとか日常生活はできる状態ではあったので、そのまま実家にいたんですが、昨年の秋頃に症状が一時的に悪化し母親だけでは面倒が見れない(介護の方もそうですが、夜中の徘徊があったのでそちらの方の対応ができない)ということから特別養護老人ホームへの入居をすることを考えて準備をしていました。
 が、昨年10月ごろに歩くこともできないレベルに一時的に状態が悪化し、そのことが原因で病院への入院が必要な状態になり、緊急入院をしました。(結果それ以降実家には戻ってきていません。)
 また、この緊急入院から目に見えて父の衰えがひどくなり、母だけではとても介護ができないということで、特別養護老人ホームへの入居手続きをしつつ、長期で受け入れてくれる病院へ転院しました。
 これが今年の1月4日の話です。

 そして、今回の新型コロナウィルス の影響で2月以降、面会できなくなり(当たり前ですが、不要の病院への来院も禁止されました。)、それ以降父には会えていません。
 その中で2月下旬に病院から、父に肺炎もしくは癌の疑いがある症状があるので専門の病院で一度検査させたいという連絡があり、精密検査を受けました。
 病院からは診察結果から『癌ではなく早期の肺炎の可能性が高いこと、もし癌の場合でも早期の癌である』と言われていました。
 ただし、この精密検査の検査結果自体は私たち家族は確認できておらず、あくまでレントゲン写真、MRIの画像と先生だけが見ている検査結果からの予測ということで口頭で説明を受けているだけでした。
 また、この精密検査には母と兄が同行していましたが、父との面会はさせてもらえておらず、『病気の疑いはあるが元気』と言われて終わっていました。
 そして先週末、兄より『父はやはり肺癌であったこと』『日中覚醒していない時間が非常に長いこと』『最近口からとる食事が取れておらず、栄養点滴を実施することを承認してほしい』と病院から言われたと連絡がありました。

 私自身は検査結果の説明方法が怪しいことと、早期の肺炎であれば薬で簡単に治療ができるはずなのにその対応をしていないことなどに疑問を持っていたので、個人的に『多分父は末期の肺癌の可能性が高いこと』『その場合、新型コロナウィルスの問題で父が危篤になっても、葬儀を行う様な状態になったとしても日本に戻れない可能性が非常に高い』ということを覚悟していました。(同時に私が海外で新型コロナウィルス に感染しても、家族に会うことも何も出来ずに死んでいくんだろうなぁ』という覚悟もしていますが。)

 ただ、実際にこの状況になって、改めて自分が『覚悟をした』と思っていたことが非常に拙い自己満足のスタンドプレー的な覚悟だったと痛感しています。

 今現在病院へは家族の誰も面会に行けていません。当然です、新型コロナウィルスの感染リスクが高いので、多くの高齢者の対応をしている病院では外部から来る見舞客に対しては面会に来ないでほしいというのは当たり前だと思います。ただ、そのことで父の今の状態を私は知ることができません。
 ご飯が食べれないので痩せ細っていないか?
 癌の影響で体が痛くて苦しんでないか?
 意外にも認知症の影響で話すことが意味不明かもしれないけど、1月にあった時と同じ様な話ができるくらいなのか?
一見これって父を心配する子供、つまり『父思いのいい息子』という評価を得られると思います。
 でも私の心の奥底にある考えは多分別物です。
 父の状況が一刻を争う様な状況であれば『新型コロナウィルス の影響で、私はすぐに日本に戻れないから今実家に戻れなくても仕方がないや』、父の状況が一刻を争う様な状況でないのであれば『新型コロナウィルス が終わってからゆっくり帰ればいいや』

 つまり、どちらであっても自分の気持ちをただ守ろうとしているだけでは?と思ったのです。(罪悪感を少しでも減らそうとしているという方が合っているかもしれませんが)
 父のことを心配していることに嘘偽りはありません。実際に2月末の時点で会社の社長に『海外渡航が制限される前に、日本に戻りたい』『私の仕事内容的にオンラインでの仕事が可能なので日本で在宅勤務をさせてくれないか?』という相談をしていました。
 社長からは、事前に仕事内容や進め方に関して打ち合わせをキチンとしておくこと、という条件付きで了解は得てありました。
 だからオンライン業務の進め方や帰国の準備を開始していたのですが、その1週間後にビザ昨日の一部停止処置の問題が、さらにその1週間後に国際線の航空便の着陸の禁止措置が取られたため、身動きが取れなくなったのですが、、、。

 今回の父の件では、私が考えていた海外勤務ということに対する『覚悟』とは、本当の意味での覚悟ではなかったということ、そして何よりも家族が当たり前の様に居てくれる状況は決して日常的なことではないんだということに気がつけたと思っています。

 結果論ですが、父に対して『もっとこうすれば良かった』、『こういう対応も出来たのじゃないか?』という自問自答は続いていくと思います。
 だから、できるだけ同じ様な気持ちにならない様に今後はしていきたいと改めて心に誓いました。

 仕事柄『人の死』というものが、普通の人よりちょっと身近な場所にある仕事をしているので、五十路ではありますがもう一度自分の考え方を見直していきたいです。

 以上、新型コロナウィルス とは直接に関係のない話ですが、同じ期間に起こり新型コロナウィルス の影響を大きく受けた話でした。

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