生まれてから小学校入るまでの話

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子供ならみんなが憧れるあのおもちゃ缶を当てた男だぜ

女の子も見知らぬ彼も、俺には興味なくておもちゃ缶に夢中だ
ま、まあ、それはそれ
俺は優越感に浸っていた
今日のイベントはもうこれくらいでいいだろうとおもちゃ缶を引っ込めようとするけど2人はまだ夢中
「ちょっと向こう行っといて。いいって言うまで入って来たらいかんで」
純粋無垢な少年だったんだよ俺は
素直に女の子の言うことに従って一人部屋の外に出た

・・・ ?
俺は嫌な予感がした
まだいいとは言われてないが部屋のドアをガラッと開けると、2人は、俺の、あの大変な思いをして手に入れた、スーパー超ラブリーなお宝の中から、世にも珍しい超レアなシールを取り出している
ビクッとしたんだろうね
その瞬間、その超スーパーレアなシールをびりっと、、、破きやがった

こっから覚えてない
俺は怒り狂ったか泣きわめいたか、女の子とはそれっきりだったように思う

小学校も一緒だったけどクラスが違ってたこともあって目を合わせても話さなかったと記憶しているし、小学校に入ったら男子と女子は仲良くしちゃいけない風習だったからどの女の子とも仲良くしてないんじゃなかったかな

宝物壊された記憶は他にもあって、このときの犯人は俺の兄貴
神奈川にいる叔父さんが息子を連れてうちに遥々やって来たときのこと、俺へのお土産ということで当時誰もがテレビで観てたマジンガーZのフィギュアを買ってきてくれた
天井から紐で吊るすとマジンガーの背中に付けたプロペラでくるくる空飛ぶやつ
うちは貧乏だから滅多におもちゃ買ってくれることもなく、しかもめっちゃ大好きなマジンガーZで、さらにそれが空飛ぶんだぜ
嬉しくないわけないじゃん
もう天国
持ってきてくれた人が誰かなんてもうどっか行っちゃって
そんな気持ちのときに兄貴がとんでもないことをしてくれた

フィギュアだから腕とか股関節が動くようになってたんだよね
昔のソフビ製だったから今ほど複雑な動きはできなくても動かせるんだよね
小さい俺にはそのことすらもよく分からなくて、兄貴がマジンガーの脚をクリッと股関節で回して、あのカッコいい日本全国の男子の憧れマジンガーZがアラレもない姿にされたわけ
(文字で伝わるかなあ。内股で脚が左右に広がってマジンガーの股間丸出しじゃんみたいな、いや元からマジンガーの股間は丸出しなんだけど、とにかくテレビではとても放送できないような恥ずかしいポーズ)
もうダメだよね
兄の手から必死でマジンガーを取り返して、早く、早く直してあげなきゃ、待ってろマジンガー、俺が、俺がすぐに

ボキッ

回して動くという仕組みを知らなかった俺は、左右に開いた脚をそのまま下に無理矢理戻しました

マジンガー股関節脱臼です
いや股関節のビニール裂けてしまったので股関節骨折?

ものの数十分の命でした

泣いたねえ
あんまり顔合わしたこともない叔父さんといとこの前で「お兄ちゃんのせいやー。お兄ちゃんがあんなことしたからやー」って
いかん、思い出したらまた泣けてきた

悔しかった
あんな格好させられたことも
俺の無知のせいで壊れてしまったこと

この事件からかなあ、あらゆる取説を熟読するようになったのって

おもちゃの缶詰にしてもマジンガーZにしても、天国から地獄に叩き落とされて、それ以来その2つの宝物への興味は完全に消えた

おもちゃ缶にはシールの他にも入ってただろうに、マジンガーは脚が取れてても空は飛べるだろうに
完璧でなくなったものはもう俺の中ですでに宝物ではなくなった

だいたいこんなとこかな
なんだかんだで歳を重ねれば自動的に小学校に行く

それはまた次のお話

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