ロンドンのスタートアップで働いてみたらクレイジーでヤバすぎた


私は現在、ロンドンのフィンテックスタートアップで戦略責任者として働きながら自身で事業をやったり、企業へのコンサルティング、アドバイザーをやったりしています。

現在のスタートアップに関わることになったのは、私がオックスフォード大学でMBA(経営管理学修士)の勉強をしていた時にスタートアップのCEOと出会い、意気投合してすぐに彼の会社にスタートアップメンバーとしてジョインし、オックスフォードでMBAの勉強をしながらロンドンのスタートアップで働き始めました。

ここでは、ロンドンのスタートアップでの私の体験を少し書きたいと思います。


超クールなハイスペックメンバー、最高なオフィス

CEOはアメリカの西海岸サンディエゴの出身で、世界的な法律事務所のベーカー&マッケンジーの元弁護士で以前は西海岸のスタートアップで働いていました。超イケメンでジムで鍛えた身体、両腕にはがっつりタトゥーが入っていて、まさに西海岸からやってきたクールな起業家という感じでした。

私は学生のときにサンディエゴに留学をしていて、またCEOの彼は学生時代に日本に留学していたこともあり、すぐに意気投合しました。

他のスタートアップメンバーは、テスラの創業者イーロン・マスクが構想したハイパー・ループのスタートアップメンバー、MITやNASAで仕事をしていた天才エンジニアや金融のスペシャリストなどです。


私のスタートアップでは、元々コロナ禍になる前からリモートワークを導入していたので、みんなオフィスに来るのは週2,3くらいでしたが、なかなか良いオフィスを借りていました。

オフィスはロンドンの中心地SOHOのWeWorkの一室(たぶん一番家賃が高い部屋)で、オフィスはフリースナック、フリードリンク、フリービールで、だいたいみんな夕方になるとビールを飲みながら仕事をするような感じです。

金曜日になると、オフィスでビールを飲んだ後、オフィスの隣にあるパブでさらにビールを飲み、その後、近くのGin Barでジントニックを飲むか、別の会員制のバーでウイスキーを飲むというのが定番となっていました。


パブで繋がるコミュニティ

イギリスでお酒を飲むところといったら基本的には「パブ」、所謂立ち飲みのバーです。イギリスで仕事をしていると、同僚や同僚の知り合い、ビジネスパートナーなどと一緒に毎週パブでお酒を飲むことになるというのはあるあるです。

立ち飲みでお酒をもって歩き回れるので、いろんな人と話をすることになります。
同僚が知り合いを呼んで、さらにその知り合いが知り合いを呼んで…といった具合に人がどんどん増えるので、たまに全然関係のない人と話していることもあります。

一番最初にCEOが他のメンバーを紹介すると言って私をパブに連れだしたとき、他のメンバーが知り合いをたくさん呼んでいたので、誰が同僚かまったくわかりませんでした。


たまにパブで知り合った人の関係で仕事につながったりもします。隣にいてたまたま話したおじさんが金融関係の人やスタートアップの投資家だったというようなこともありました。
金融やフィンテックが発達し、密集しているロンドンならではですね。


スタートアップは走り続けるのみ

オシャレなオフィスで優秀な同僚達とビールを飲みながら仕事をしてなんて楽しそうなんだろうと思われるかもしれませんが、楽しいことばかりではありません。

私は新卒でコンサルティングファームに入社し、以前はコンサルタントとして働いていたのですが、コンサルティングとは全く別の能力が求められますし、別の辛さがあります。コンサルに戻りたいと何度も思いました。

求められる能力の違いという点では、私はコンサルタントとして企業の戦略作りをずっとやっていましたので、スタートアップでもまずは戦略を作って他のメンバーと目線合わせをしようと戦略作りの作業をしていたら、CEOが寄ってきて「エクセルやパワポをいじってる暇があったら仕事しろ」と言われたのを覚えています。

事業環境がコロコロ変わり、明日キャッシュが尽きるかもしれないというスタートアップにおいては、将来的な戦略をつくったりすることは大企業ほど必要とされません。必要なのは「作る」「売る」、或いは「お金を出してくれる投資家を連れてくる」といったことなので、コンサルからスタートアップに転じたときは苦労しましたが、なんとかキャッチアップして今に至ります。


スタートアップならではの死を覚悟する瞬間

動きの速いスタートアップで働いていると、毎日のようにトラブルが発生します。

例えば、ある日、CFOと経理、バックオフィス担当が失踪し、後の仕事を私が引き継ぐことになったときは死を覚悟しました。
私はPayrollや決算業務、財務諸表作成など経理業務を一度も経験したことがなかったのですが、できそうなのが私しかいないということで私がやることになり、いろいろと周りの人にサポートも受けながらなんとか乗り越えました。

或いは、ヤバい従業員を雇ってしまい、トラブルになったこともありました。ある日、CEOが連れてきた新しい営業担当者は快活でいかにも仕事ができそうな好印象な人だったのですが、後にその人は不正行為を行ったりして泥沼の訴訟になったりもしました。

また或いは、取引先が経営破綻し、自社サービスが一時停止し、問い合わせ・クレームの嵐になったり…

と、問題は絶えません。スタートアップならではのドラマが毎日のように繰り広げられるのでした。

そういったトラブルが重なり、ストレスレベルがかなり上がってくると、みんなだいたい人間性が崩壊してきて、毎日のようにFxxk!と叫び出すようになっていき、メールの文面にまでFxxkと書き始めます…


コンサルティングで言うと、所謂、炎上プロジェクトの案件をひたすらやってるようなイメージです。しかもコンサルティングプロジェクトと違って出口が見えないのです。


それでも楽観的なメンバー達

ある日、メンバーと重要なビジネスの施策について話をしていたとき、分析や調査は一応やるのですが、最後は度胸で、みんなで「これでダメだったらみんなでメキシコに行ってバーでもやろう」などと言って思い切ってその施策を実行しました。

が、失敗し、私を含め、経営陣はしばらく給与を半額に削って働くはめになりました。


そんな状況の中でも、「That’s life(しょうがないよね)」と言ってみんなで飲みにいって翌日から普通に働く。そんな感じでみんな楽観的なのでした。

リスクをとっても命までは取られない、失敗して一文無しになってもまた最初から始めればいい。
家族を養ってるとかそういう状況じゃなければ給料が半分になってもなんとかやっていけますし、痛くも痒くもない、そんな感じです。



世界一レジリエンスが高いイギリス

日本は少子高齢化で今後じわじわゆっくりと衰退していくと言われていますが、イギリスは今生きるか死ぬかの瀬戸際です。

イギリスのEU離脱においてはNo deal Brexit(合意なき離脱)となる可能性もあり、そうなると経済へのダメージは深刻なものとなると言われています。

イギリスのCovid-19の感染者数は世界でもかなり多く、大々的なロックダウン(都市封鎖)も実施した結果、2020年の第二4半期はGDPがマイナス20%となり、景気後退となっています。(リーマンショックのときですらマイナス1~2%程度)

また、BLM(Black Lives Matter)運動でロンドンなどの都市は大混乱に陥ったりと、日本では考えられないようなカオスっぷりです。


こんな状況の中でも、ロンドンのアントレプレナー達はとにかくポジティブでしたたかだと思います。
ロンドンのスタートアップ界隈の知り合いと話すと、「Brexitがきっかけで国内だけでなく世界に視野を向けるようになった」、「コロナでデジタル化やリモートワークが加速した」、「BLMによって人材のダイバーシティが向上した」…とポジティブな声ばかりが聞こえてきます。

イギリスの政府系機関でスタートアップ支援を行っている人が、「イギリスは苦境が来るたびに乗り越える」、「イギリスはレジリエンス(困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力)が世界で最も高い国だ」とも言っていました。

私たちもこの危機的な状況をチャンスに変えて生き残り、成長していきたいものです。



筆者

西垣和紀

キャプチャ

高校中退後、数年間仕事を転々とした後、渡米。アメリカの大学を卒業後、外資系コンサルティングファームに入社し、大企業の戦略策定、M&A、業務改善、新規事業創出などに従事

その後、オックスフォード大学MBAを経て、ロンドンのスタートアップで事業責任者、外資系企業のCOO(最高執行責任者)などを歴任し、現在はヨーロッパと日本を行き来しながら様々なビジネスの立ち上げや企業のアドバイザーとして活躍

また、音楽活動をしており、アメリカ西海岸のレーベルと契約、海外フェスへの出演やイギリスのトップアーティスト「ピクシー・ロット」などと共演


著書「オックスフォード大学MBAが教える人生を変える勉強法」など

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)マネジメントサイエンス専攻
オックスフォード大学サイードビジネススクールMBA(経営管理学修士)
ペンシルバニア大学大学院コンピューターサイエンス専攻

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