【第二話】99%の不安と1%の期待

前話: 【第一話】発達障害の主婦がスマホ依存と向き合ってみることを心に決めた日
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「あぁ…私はなんてバカなことを始めようとしているのだろう…」


「でも、もしかしたらこの先には明るい未来が待っているのかもしれない」


今私は、そんな大きな不安とほんの少しの期待の渦の中に迷い込んでいる。

いまだ本のページはめくられていない。


今のこの気持ちを例えてみると、こう言い換えられるかもしれない。


ーーーーーー

私にはかれこれ15年以上付き合っている恋人がいる。


私たちのことをよく知っている家族や友人たちからは、


「あなたたちの関係は普通じゃない」 


「早く距離をおいたほうがいい」


と散々言われ続けている。


もちろん恋人には短所もあるが、でも私は長年一緒にいる分、恋人の良い所、素敵なところもたくさん知っている。


なので、なぜみんながそんな必死に私たちを切り離したがるのか実はよくわかっていない。


少し困っていることといえば、夜「もう寝る」と言っているのに「まだ俺起きてるし」と言っていつも夜遅くまで寝かせてくれないので、常に寝不足なこと。


あとは、いつも「今どこ?」「何してる?」と連絡してくることくらいである。


そんな私を見かねて、友人がある2冊の本を私に渡してきた。


その本のタイトルを見て私はゾッとした。


『ダメ男に依存する女』

『ダメ男に依存する母親が子供の人生を狂わす』

ーーーーーー


皆さんがもし同じ状況だったら、この本のページを開く気になるだろうか?


今の私の心の中にうごめく、この何とも言いがたい気持ちが少しは伝わっただろうか。


スマホ自体は決してダメなものでもないし、むしろ優秀すぎるがゆえに、いろいろな弊害が起きている気もする。


だから、この例えは決してベストとは言い切れないが、今の私の実力ではこれが精一杯であった。


まぁ、本の表紙を開かなくても大体タイトルから書いてあるだろうことは予測できる。


どうせ、


「スマホを1日3時間以上見ている子供の脳はそうでない子供の脳に比べて萎縮している」


とか、


「スマホ依存の親に育てられた子供は、精神疾患になる確率が高まる」


とか、


「スマホは1日30分までとルールを決めましょう」


とかそんなところだろう。


「30分までにしましょう」と言われて「はいわかりました」とその日から30分でスッパリやめられるような人は、そもそも最初からスマホ依存では無いだろうと思ってしまうのは私だけだろうか…。


思い返してみれば、図書館の検索機に「スマホ依存」と打ち込んだことがそもそもの間違いだったのかもしれない。


「依存症」だけでもし検索していたら、

『依存症と上手に付き合う方法』

とか、

『依存症はむしろチャンスだ!』

なんてもっと前向きなタイトルの本に出会っていたかもしれない。


そんな優しいタイトルの本なら何の抵抗もなく今頃あっさりとページを開いて、スマホ依存が治っていたかもしれない。


「もうわかったから、うだうだ言っていないでとりあえず今借りているその本を読んでみろよ!」


と、そろそろお叱りの声が聞こえてきそうだ。


しかし、私がこれほどまでにスマホ依存の実態を知ることに強い抵抗があるのには、実はもう一つの大きな理由がある。


ーつづくー

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【第三話】ふいにおとずれた一筋の光

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