『君の記憶に爪痕を遺す』『君は僕を一生忘れられないよ』
私は21歳まで、小さな芸能事務所にいる間、事務所の言われたことを真面目に守って
【彼氏】もつくらず、【夢を与える声優】や【舞台の台本】をつくることに、目を輝かせている女だった。
【有名】じゃなくてもいい。自分の【作品】で誰かが、明日に希望をもってくれればそれで良かった。ディズニーランドのキャストさんのような、【温かいメッセージを送る人間】になろうとしていた。
あるとき、熱心に小劇団の舞台に通ってくれる30歳の男性ファンがいた。
とても優しくて、細くて、背もそこそこあって、企業でも役職ついていて。
小劇団なんていくつもある。
会場も劇団員でお金を出し合って、借りるし、チケットのノルマもある。
何枚も引き受けてくれて、私の芝居をみてくれて、ほめてくれて、毎日パソコンのヤフーメールをくれる。
たわいも無いことを。
【風邪ひかないでね】
【今度はどんな舞台なの】
全部返信できないのに、【メルマガ】のように毎日、毎日届いて、俄然やる気になった。
小学館の頃に休み時間に男子からスカートめくりや、ボールをぶつけられて
【泣いて】いた私。
男子は私が泣くのが面白くてなかなか辞めなかったけど
最後は私が泣くのをやめて
【ずっとボールぶつけていた男子の机を蹴っ飛ばして倒した】ら
震え上がって辞めてくれた。
【やり返さないと】辞めないのか、ともおもったけど。
一生、恋愛なんて興味が無い。
【一生懸命頑張る女の子を泣かす意地悪な男子】なんて嫌い。
馬鹿にして笑われる。
【作家になって、最後は尼さん】にでもなろうか。
【文章】に全てを捧げて【死んでいく】のもいい。
【君は舞台しか見えてないんだね・・・君の記憶に爪痕を遺したいよ】
ある日、彼は、そんなことをいって、観劇に来なくなった。
『館花、いつも来てたさ、お客さん、いるよね。あのお客さんの上司、私のファンなんだけど、自殺未遂したみたい、なんだけど・・・ね、大丈夫?仕事うまくいってなかったみたいでお金なかったのに結構、来てたよね?』
なんで?
え?
どうして、自殺、するの?
私は死んで欲しいんじゃない。元気とか希望とか。
『付き合いたかった、んでしょ、彼は館花とさ。あれは、恋してた、よね』
私は【1人しか】いない。いつか【彼氏】ができるかもしれない。結婚・・・も。
彼氏、つくるなって、事務所がいってた、よ。ねえ。わたし、真面目にちゃんと守っていたよ。
私、小学校のときのトラウマで男子が怖い。
知らなかった・・・わかんないよ
恋愛なんて、わかんない。いや、なんか私、心が幼い、のかもしれない。
ファンの事情なんて。わからないものだ。
いつか、私も誰かを好きになるだろう。そしてその人から振られる、んだろう。
そして知るのだ、自分がしたことを。どんな気持ちになるのかを。
1番、好きな人、と結ばれない、ことを、思い知ったときの【絶望感】を。
『館花?・・・あー、ねぇ、大丈夫だよ。館花のせいじゃないって。誰が見てもあれは、ねぇ。館花と付き合えないからなんか罪悪感持たせにきた・・・館花?え、どこ行くの』
吐きそう・・・
人の生死が、感情に流れ込んでくる。
私が傷ついたわけじゃない。だけど毎日交流してきて、当たり前のようにそこにあったものが、えぐられるように無くなった。
どんな気持ち、だったのか。
【希望】じゃなくて【絶望】させてしまった。
自分のしていることが、相手にどう影響するかまで考えてなかった。
それに責任はとれない。とれないけど、せめて気づいて、付き合えないから早めに他の人へ恋愛するように勧めるとか、私は誰とも付き合わないと教えるべきだった、のか。いや、もう、こうなると芸能人そんなことできないよね。
こうなる、人がいても、きっと、どうにも出来ない。
【声劇】は【ごっこ遊び】の延長だ。
私が【共演者】と付き合うことは、ない。
私は【俳優】だけは、【恋人や夫】にしないと決めている。
好きな人が【フィクションでも女優とイチャイチャするのは耐えられない】からだ。
【結婚】したら
【恋愛の芝居】は、しない。相手がいいと言わない限り。気にしない人もいるだろうから。
【芝居】は、する。だけど【内容】は、選ぶ。
【好きなことをしている間は独身でいい】
いつか【結婚】する
その【相手が嫌がる】ことは、私はしない。出来ないならもう一生、独身でもいい。
忘れられ、ない、か。
確かに、ね。
どんな恋愛しても、忘れようとしても
瘡蓋になっても
キレイに傷跡が、爪痕が、そこに、ある。
だから、待ってて。
【文章で必ず返り咲く】
今度は私が【君の記憶に爪痕を遺す】よ
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