浅野忠信さんと田中真弓さんに直接会ったにも関わらず、俳優の僕が芸能界で売れることを目指さない理由 PART2
PART1をまだ読んでいない方は、こちらを先にお読みください。
画像転載元:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12137056832
なぜ俳優が食えないのか?
その質問に対する浅野さんの答えはいたってシンプルなものでした。
「だって俳優として食べていくと決めたら、俳優の仕事を必死で探すだろ?」
浅野さんの頭の中には「俳優として食べれなかった時のこと」が想定されてなかったんです。
”俳優は基本的に食べていけない職業”。だからアルバイトで最低限稼ぐ、というのが一般的なスタンスですが、浅野さんはおそらく、
俳優として食べていこうと努力するから初めて、俳優として食べていけるようになる。はじめから食べていけない前提では、食べていけるようになんてならない。
そう伝えようとしてくださったんだなと思います。
とはいえ、、、、
とはいえ、です。
営業なんてやったことない、
思い当たる人脈もない、
プロモーションの仕方もわからない、
のないないずくしのフリーターに、ただでさえ売れないと言われる俳優で、いきなり独立できるわけもありません。
茫然自失です(笑)
とりあえず、何もしないわけにはいかないので、社会勉強から始めようと思い、
当時流行りだしていたTwitterで、著名人・経済人を片っ端からフォローして、毎日流れてくるニュースに目を通すようになりました。
そうして社会の情勢に興味を持ち始めた頃に
東日本大震災が起きました
その時僕は、大学の友達が映画祭で受賞されたというので、それを観るため有楽町のビルの中にいました。
最初はじわじわとした揺れだったので、館内にいた人みんな気にしなかったのですが、あまりに長く続くので映画の上映は中止。
「どうしたどうした」と会場から外に出たときに見た映像を今でもはっきり覚えています。
窓の外で、ビルというビルがこんにゃくのようにグラグラ揺れていました。
その日はバイト先に一応行きましたが、もちろん休業。渋谷から四谷の自宅まで歩いて帰りました。そしてそこでみたテレビの映像に戦慄しました。
信じられませんでした。
来る日も来る日もニュースに釘付けでした。東京にいても全く実感が湧きませんでした。
- ・炊き出しに参加し、被災者を励ますSMAPの中居くん
- ・100億円寄付したソフトバンクの孫さん
- ・世界中にチャリティーを呼びかけたレディー・ガガ
多くの人たちが、被災地支援を行うのをTwitterで眺めていた僕は、
「何もできない自分・影響力のない自分」に毎日すごく苛立っていました。
おそらくそれはいま振り返ってみると、「明日を生きれなかった人たちのために、昨日を全身全霊で生きなかった自分」に対して無意識の罪悪感を感じていたからだと思います。
とにかく売れたい!売れて、たくさんのお金を手に入れたら、こういう時にポンっと出せるような人間になりたい!!ヨッシャー売れるぞーーーーー!!!
そう意気込んではみるものの、浅野さんからの提案に答えも出ず
どうやって売れよう??はぁ~。困った(´・_・` )
という毎日を送っていました。
人生初の「名刺交換」!?
そんなある日、幼なじみの飲み会に誘われたときのこと。
「将来どうする?」みたいな話になった時に、そこにいた女の子から
「ヨシキさ、Twitter見てて思ってたんだけど、経済とか興味あるの?私そういう講演会のスタッフをボランティアでやってるんだけどよかったら来る?すごくわかりやすいから俳優活動の参考になるかもよ。」と提案してもらい、
と即決。
「講演会」と名のつくものには、それまで一切ご縁がなかったですが、「とにかく情報が欲しい。何か行動するきっかけになれば」という一心でした。
その講演会はものすごく素晴らしいものでした。
経済の流れから、お金の仕組みに至るまで、目からウロコの情報が満載で、感動のあまりそこでもまた人生初の、「名刺交換」をすることになります。名刺持ってなかったけど(笑)
スタッフが知り合いということもあって、後日幸運にもその主催の方とお話することができたのですが、その方が長く人材業界で仕事情報に携わったきた方で、キャリアカウンセリングなどもされているすごい人だったので、俳優としてのキャリアの相談に乗ってもらいました。
この時にされた質問が、僕の第2のターニングポイントになります。
答えられませんでした。
自分が俳優として何を目指しているのか?
答えられなかったことにビックリしました。
その主催の方は、困惑する僕にわかりやすく説明してくれました。
キャリアカウンセリングをしていると、よく出会うんだけどね、どんな仕事をしたいのですか?って聞くと、給料がよくてーとか、福利厚生がしっかりしていてーとか、有給がとれて、風通しの良い社風でーとかっていう、「条件」で仕事を決めようとする人がいるの。
その人は、自分がどうありたいか?という「在り方」が決まっていない状態で、「やり方」の追求をしている人なの。
「在り方」は、人生の目的地。ここが明確じゃないと、航海に迷うことになる。
一方やり方はわかりやすく例えると「乗り物」。
本当はパリに行きたいって思っているのに、フェラーリ乗ってエンジンふかしてる人いっぱい見てきたわ。でもその乗り物では絶対にパリには着けないの。
逆に大企業、というジャンボジェットに乗って「ハッハッハ!これでどこでもいけるぞ!」と意気込んだはいいものの、本当はいきたいところ箱根でした、ってジェット機乗ってから気づくのよ。
すごく遠回りじゃない?
ONEPIECEのルフィーを想像してね。
ONE PIECE (C)尾田栄一郎/集英社
彼は、海賊王になるって「決めてる」でしょ?
だから彼の航海には迷いがないの。
ヨシキくんが船の船長だとして、その船長が「船長、どこ行きたいんですか?」って聞かれた時に、「東の方!」って答えたら、その船乗りたい人いると思う?』
「いい質問だね。自分にまだやりたいことが見つからない時は、志の高い人と常に一緒にいるといいの。
そういう人といつも一緒にいると、ヨシキくんの航海を邪魔する「常識」っていう脳の中にある枠が壊されて、どんどん世界が広がってくるの。
目指したいものがないんじゃなくてまた見つかってないだけ。」
ものすごい納得でした。
この時僕は、あこがれの俳優さんと共演することばかり考えていて、
- ・自分がなぜ俳優という職業を選んだのか?
- ・俳優として社会に対してどう貢献していきたいのか?
- ・そしてなにより、一人の人間として「どう在りたいのか」?
全く考えていなかったことに気づきました。
ここであの浅野忠信さんのセリフが蘇ります。
「だって俳優として食べていくと決めたら、俳優の仕事を必死で探すだろ?」
僕は本当に腹のそこから「決めて」なかったんですね。
そこから、
とにかく志の高い人たちと知り合おうと決めて、いろんな人に出会いまくってました。
そういう人を探していると、そういう人に出会うから不思議ですよね。
そうしたら、あるパティシエさんからこんなことを言われます。
「ヨシキさ、ONEPIECE好きだったよね。私の知り合いで、ONEPIECEの被災地ボランティアをやろうとしている人が、メンバーを募集しているんだけど興味あるかな?条件は、ONEPIECEが死ぬほど好きか?ということだけ、らしいよ(笑)」
「え、絶対いきます。仕事休んでいきます。」
大好きなONEPIECEで、被災地のボランティアに行くことができる。
こんなに嬉しいことはありません。それだけでウキウキでした。
でもまさか、
このあと「本物のモンキー・D・ルフィー」に会えることになるなんて、
いったい誰が予想できたでしょうか?
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