あらすじ
そんなこんなで東京最終日。宿泊先もチェックアウトしているので、リュックと重いボストンバックを肩にかけ、まるで迷子状態。
上野公園に辿り着いた私の目の前に現れたのは、誘惑の占い師、オタク風お兄さん、そして・・・
振り返ると
おじさん「お嬢ちゃん仕事探してるのかい?」
おじさんの視線が握りしめていた求人誌に向いていた。
どりあん「あっ、え・・いあ、いえ・・」
おじさん「それじゃあ観光かい?」

どりあん「あ・・はい・・」
おじさん「行く所は決まってるの?」
首を振る私。
おじさん「じゃあ、おじさんが東京を案内してあげようか。」
頷く私。
おじさん「あ、ちょっと待っててね。言ってくるから。」
おじさんは布団が入ってるんじゃないかと思うぐらい、とても大きなバックを肩にかけていた。
仲間らしき人の元へ行き、何かを話し、荷物を預け、戻ってきた。
おじさん「じゃあ、行こうか。」
そう言うおじさんの後をついて行く。
何も怖くはなかった。むしろ話しかけてもらったことが嬉しくて嬉しくてしかたがなかった。
おじさん「お嬢ちゃん、名前は?年齢は?」
どりあん「どりあんです。18歳です。」
ヨシダおじちゃん「どり・・あん・・さん(メモりながら)ね。漢字はこうかい? よろしくね。おじさんはね、ヨシダ(書きながらコッチに向けて)といいます。・・いくつに見えるかい?」
どりあん「うっ・・え・・」
言葉につまる。見た目はヒゲも長くて仙人のようで、60代に見えるけど・・
ヨシダおじちゃん「○○歳。もっと老けて見えるよね?はは(笑)」
(すみません。覚えてないのですが、私が思った年齢より若く驚いた記憶があります)
それから何処に行った事があるかなどを話しました。
上野駅
改札口で乗車券を2枚買う。おじちゃんに渡す。
話しながら おじちゃんは手にもっていた乗車券をさっと袖の隙間に入れた。
ヨシダおじちゃん「あ、あれっ、ごめんね。切符なくしちゃったみたい。もう一枚買ってくれるかい?」
見えてたけど、見えてましたけど、言わなかった。
しぶしぶ もう一枚買う。少し不安になる。

中へ入ると おじちゃんは電車を待っている外国(欧米)男性の方に英語で話しかけていた。笑顔で答えている外国の方。おじちゃんはなんて話しかけたんだろう。。

わりとすぐ来た電車に乗る。ヒキコモリになってからというもの電車が苦手だ。
逃げられない空間に多くの人と閉じ込められていると思うと息が苦しくなる。
実は飛行機に乗るのも大変だった。
『イヤホンで耳を塞ぎたい。音楽を大音量で聞いて遮断したい。何も考えたくない。』
眉間に皺をを寄せ冷や汗を流しながら、そんなことをブツブツと考えていた。
横を見るとおじちゃんは着ている服(フリース素材)の毛玉をひとつひとつ丁寧に取っているところだった。
見る限り大量に毛玉がついている。時間がかかりそうだ。

