社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(2)
去っていくナショナルクライアント
強制捜査が入った翌日も、何事もなかったように出社した。淡々といつもの仕事についてる人が多かったように思う。
担当しているのはインターネットサイト。24時間365日無休のビジネス。止める訳にはいかない。
そんな中、最初に事件が起きたということを実感したのは、会社のイメージダウンによるお客様への影響だった。
今ほどアドテクノロジーが進化していない当時、ポータルサイトの主な収入源はインターネット広告、中でもAdsenseやディスプレイネットワークではなく、『純広告』と呼ばれる、「枠売り」の広告商品だった。
Yahoo!などの大手と比べ、どうしてもB級感の拭えないサイトでは、いわゆる一流企業(ナショナルクライアント)の獲得は、夢の1つだった。
事件前の年末、確か、JALだかANAだか、ナショナルクライアントがついに出稿してくれ、皆で喜んだことを覚えている。しかし、事件後、すぐに掲載中止に。現実の厳しさ見せつけられた。
そして今でもなお、livedoorは虚業だったのか
実際に行われている以上に見せることで時価総額を釣り上げた、という話があるが、実像以上の評価をしていたのは、世間や市場であり、実際に手を動かしていたメンバーは、ポータルサイトしかり、blogしかり、ニュースしかり、しっかりと価値のある事業をやっていた。ユーザからの支持を得ていた。
だからこそ、今日もそれらのサービスは存続している。もしニーズのないサービスだったら7年間も継続しているだろうか。日夜、ディレクター、エンジニア、デザイナーが手間暇をかけて運用し、改善してきたサービスだからこそだと思う。
(もちろん、その後クローズしたサービスもたくさんあるのだが)
しかし、事件後の世間の風は冷たく、客観的に自分たちを見つめる機会を求めてさまよっていたかもしれない。自分たちが信じてがんばってやってきたことは果たしてなんだったのかと。しばらくはそんな日が続いた。
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