異国の国ではじめての友達はくまさんだった。

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後編: はじめて原点から意思を伝えたあの日


冷たい色した、冷たい素材に

ぎゅっと離さまい、として両手を絡めた。

あの空間を思い出すと、

なんて無機質な場所だったのだろう、と今の私は思うけれど、


同時の私にとっては、

ぐるぐる回るカラフルなスーツケースたちが、

自分のこれからを魅せてくれているようだった。


興奮していたのか?

それとも希望に満ちていたのかは、今の私には分からない。


それでも確かに、あのときは私にとって

忘れられない人生の転機でもある一日だったのだろう。



場所は空港の荷物待つロビーで

わたしははじめて訪れる国の言語に耳をかたむけながら、

くるくる回る色とりどりのスーツケースたちを目で追っていた。


横には祖母がいた。

そして、わたしはずっと、

荷物をのせるスチールの冷たい銀色の乗り物に

アスレチックで遊ぶかのよう、一人乗っていた。



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その後のことは、あまり覚えていない。


覚えているのは、両手にしみついた空港での冷たい感触と、

くるくる回るスーツケースたち。


そして、その後に囲まれた

見たことも無い格好をした大人たちに渡された

一人のくまの人形だけ。


大きなうさぎの人形ももらったのだけど、

あの時の私にとっては、抱きつくものよりも

手の上で遊べて、ずっと一緒に移動してくれる友達のほうが必要だったから。


そうやって、はじまった日本での暮らし。

みんなの読んで良かった!