一輪車の少年

1 / 2 ページ

朝、太陽の匂いがまだ新しく、小鳥のさえずりなんかも聞こえてくる。



農家だった家庭は僕よりも早く1日が始まっていた。
キッチンから包丁の音が聞こえている。

僕が食卓に就く頃には食事が並んでいて、
それをそそくさと口に運ぶ。
お決まりの挨拶「行ってきます」と同時に僕の足は一歩を踏み出していた。
黒く少し年期の入ってきたランドセルは
今日1日の物語りが詰め込まれて、走って体が揺れる度にカタカタ音をたてている。

家から学校までは約1キロ。小学4年生の体には少し長く感じていたのだが、
道の先に目的があると、その距離は半分以下に思えてくるから不思議だ。
使い古された学校への道は太陽の光に包まれて
まるで僕を導いてくれるかのような感覚が僕を襲った。
まだ誰もいない学校というのを経験した事があるだろうか?
朝もやが立ち込めていて校庭は神秘的な輝きを放っていた。

みんなの読んで良かった!